中絶手術について
対象となる妊娠週数と手術方法
当院で人工妊娠中絶手術の対象となるのは、妊娠5週(胎嚢確認後)から11週6日までです。身体的な負担が少ない吸引法を基本とし、2023年4月からは手術を伴わない経口中絶薬(メフィーゴパック)による方法もご案内しています。対象週数や手術方法、経口中絶薬について、当院の考え方も含めてこのページでご説明します。
人工妊娠中絶という処置について
人工妊娠中絶は、母体保護法という法律に基づいて、指定を受けた医師だけが行える医療行為です。院長はこの母体保護法指定医にあたります。手術を受けるには、ご本人の同意に加えて、配偶者(事実婚のパートナーを含む)の同意書をいただくのが原則です。
ただし、配偶者の行方が分からない、意思を示すことができない、すでに関係が実質的に破綻しているなど、同意を得ることが難しいご事情がある場合は、ご本人の同意だけで手術を受けられることがあります。同意書の準備やパートナーとの話し合いに時間がかかりそうなときも、診察のなかで状況を伺いながら一緒に整理していきます。
対象となる妊娠週数
対象となるのは妊娠5週(胎嚢確認後)から11週6日までで、妊娠12週以降は中期の扱いとなります。中期になると、必要な手続きも身体的な負担も初期とは大きく変わってきます。週数が進むほど選べる方法は限られていくので、「もしかして」と気づいたタイミングでご連絡いただくと、選べる幅が広がります。受診のタイミングに迷うときは、まずお電話かWEBでご連絡いただければ、診察のなかで週数を確認しながらご案内します。
妊娠週数の数え方
妊娠週数は、最終月経が始まった日を0日として数え、40週0日が分娩予定日にあたります。「妊娠6週」といっても、はじめの2週間はまだ妊娠が成立していない計算上の期間にあたり、この数え方に戸惑う方は少なくありません。生理周期が不規則な場合は、エコー(超音波)検査で赤ちゃんの袋(胎嚢)の大きさから週数を確認します。
ご自身で数えた週数と診察での週数にずれが出ることも珍しくないので、最終月経の記憶があいまいでも、そのままお話しいただければ大丈夫です。
迷っている場合、まだ決めていない場合のご相談
「産むかどうか、まだ決められない」――そう感じたまま来院される方は少なくありません。妊娠を続けるか中絶を選ぶか迷っている段階でも、当院にご相談いただけます。診察や検査を受けたからといって、その場で結論を求めることはありません。
ただ、対象週数には11週6日までという期限があり、時間が経つほど選べる方法や手続きの余地が狭くなっていくのも事実です。この点は正直にお伝えしたうえで、判断を急がせることのないようお話をうかがいます。
受診の形も選べます。ご本人おひとりでの受診、パートナーとご一緒の受診、パートナーには知らせずご本人のみでのご相談、いずれも可能です。誰にも言えずに抱えている場合こそ、まずはお電話でお気持ちだけでもお聞かせください。
手術方法の種類と違い
当院では、掻爬法(そうはほう)より身体的な負担が少ないとされる吸引法(手動真空吸引法・自動真空吸引法)を基本としています。世界保健機関(WHO)も、実施可能な場合は掻爬法より吸引法を推奨しています。どちらの吸引法を選ぶかは、週数やお身体の状態を診察したうえで医師がご提案し、ご希望も伺いながら決めていきます。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| 手動真空吸引法(MVA) | 注射器型の器具を用い、手動で陰圧をかけて子宮内容物を吸引する方法です。 |
| 自動真空吸引法(EVA) | 電動の吸引器を使用し、自動で陰圧をかけて吸引する方法です。MVAと同様に吸引による方法です。 |
| 掻爬法(そうはほう) | 金属製の器具(キュレット)で子宮内容物をかき出す方法です。現在は世界的に吸引法が主流となっており、掻爬法が単独で用いられる機会は少なくなっています。 |
子宮の入り口を広げる「前処置」は、妊娠10週までは行っていません。11週の症例では、安全のために処置を行っています。手術自体は静脈麻酔を使って行うため、意識がない状態で終わります。痛みの感じ方には個人差がありますが、麻酔が効いている間に手術が完了するよう進めます。
経口中絶薬(メフィーゴパック)という選択肢
2023年4月に承認された経口中絶薬(メフィーゴパック)は、手術を伴わずに人工妊娠中絶を行える方法で、妊娠9週0日までの方が対象です。ミフェプリストンとミソプロストールという2種類の薬を時間を空けて服用し、子宮内容物の排出を促します。安全に経過を見守る必要があるため、内服は全例入院での管理となります。当院では次のように進めます。
-
ミフェプリストンの服用
母体保護法指定医の面前で、入院のうえミフェプリストンを1錠服用します。
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ミソプロストールの服用
36〜48時間後、ミソプロストール2錠を頬に含んで30分ほど置いてから飲み込みます。
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経過観察・排出の確認
胎嚢が排出されるまで院内で過ごしていただき、医師が経過を確認します。
多くの方は内服から数時間で排出が完了し、当院では約9割の方が8時間以内に完了しています。海外の報告では、内服だけでは完了しない例が16〜17%、追加の手術が必要になった例が9〜17%、輸血を要した例が2〜3%とされています。数字には個人差があり、当院で必ず同じ割合になるとは限りません。
- 内服から胎嚢の排出が確認できるまで、入院して院内で過ごしていただきます
- ミソプロストールは頬に含んで30分ほど置いてから飲み込みます
- 出血や腹痛の状態によっては、医師の判断で吸引法による処置に切り替える場合があります
当院では、合併症の少ない手動真空吸引法(MVA)による手術をおすすめしています。手術を避けたいという気持ちだけで方法を選ぶのではなく、内服後の体調変化に対応できる環境かどうかも一緒に考えていきます。どちらの方法を選んでも、術後は低用量ピルによる確実な避妊が欠かせません。
よくあるご質問
最終月経が始まった日を0日として数え、40週0日を分娩予定日とします。生理周期が不規則な場合は、エコー検査で胎嚢の大きさから週数を確認します。
週数やお身体の状態を診察したうえで、医師がご提案しご希望も伺いながら決めます。どちらも吸引による方法で、掻爬法に比べて体への負担が少ない方法です。
妊娠9週0日までが対象です。手術に比べて対象週数が狭いため、まず診察で週数を確認したうえでご案内します。
逆に、経口中絶薬は全例入院での管理となります。母体保護法指定医の面前でミフェプリストンを服用し、胎嚢の排出が確認できるまで院内で過ごしていただきます。手術のほうが日帰りで済むケースが多く、この点も方法を選ぶ際の判断材料になります。
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この記事の監修者
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