HPV感染と子宮頸がんの関係

「子宮頸がんはワクチンで防げるのですか」というご質問を、外来でもよくいただきます。子宮頸がんの多くは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というごくありふれたウイルスが体に居座り続けることが原因で起こります。

HPVには200種類以上の型があり、性交経験のある女性なら一度は感染してもおかしくないほど身近なウイルスです。

感染してもほとんどの場合は体の免疫力で自然に排除され、そのまま何も起こりません。ただ一部の型は体にとどまり続け、数年から十数年という時間をかけて子宮頸がんへ進行することがあります。ワクチンは感染する前に受けるほど効果を発揮するお薬なので、接種のタイミングは早いほど有利です。

男性接種の意義とパートナーへの予防効果

「HPVワクチンは女の子だけのもの」と思っている方も少なくありませんが、男性にも関わりの深いワクチンです。

HPVは男性にも感染し、肛門がんや尖圭コンジローマの原因になるほか、中咽頭がんとの関連も指摘されています。国内で承認されているHPVワクチン(4価・9価)は、肛門がん・尖圭コンジローマの予防を目的として男性の接種にも対応しており(中咽頭がんの予防は国内承認の適応には含まれていません)、当院でも女性と同じように男性の接種を行っています。

自分自身の病気を防ぐだけでなく、将来のパートナーとなる女性への感染を防ぐという意味も持っています。

これから性交渉を経験する年齢の男の子にとっては、感染する前に受けることが将来のパートナーを守ることにもつながります。ご家族で接種を検討される際は、女の子だけでなく男の子も対象になる点をあわせて考えてみましょう。すでにパートナーがいる成人男性の接種も、当院で承っています。

港区の男子HPVワクチン接種助成

港区にお住まいのご家庭からは、「男の子にもワクチンの助成があるのか」というお尋ねをよくいただきます。港区では子宮頸がん予防の観点から、小学6年生〜高校1年生相当の男子を対象にHPVワクチン接種費用の助成を行っています。区が発行する予診票をお持ちいただければ、費用は無料です。助成の対象外となる年齢の方や、港区以外にお住まいの方も、自費での接種は可能です。

助成を利用する場合は、自治体から届く受診券や予診票を持ってきていただくと、当日の受付がスムーズに進みます。

定期接種・任意接種の対象年齢と費用

「定期接種」「任意接種」という言葉は、聞き慣れないと分かりにくいかもしれません。HPVワクチンは対象年齢や接種の目的によって、定期接種・任意接種・港区の助成のいずれかに区分され、どの区分に当てはまるかで費用や公費負担の有無が変わります。下の表でご自身の状況を確認してみましょう。

区分対象費用
定期接種(女子)小学6年生〜高校1年生相当公費負担(自己負担なし)
任意接種(女性・男性とも)定期接種の対象年齢を超える場合など自費(医療機関により異なります)
港区男子HPVワクチン接種助成港区在住の小学6年生〜高校1年生相当の男子区発行の予診票持参で無料

接種までの流れ

初めて受診される方も、次の4つのステップで接種まで進みます。

  1. 問診・接種歴の確認

    既往歴やアレルギー、これまでの接種歴を確認します。母子健康手帳をお持ちの方はご持参ください。

  2. 医師による説明

    ワクチンの種類・接種回数・費用について医師が説明します。気になることは、この場で医師に聞いておきましょう。

  3. 接種

    上腕に注射で接種します。接種部位の痛みや腫れが出ることがあります。

  4. 経過観察・次回接種のご案内

    接種後は院内で30分ほど、体調に変化がないかを確認しながらお過ごしいただき、次回接種の日程をご案内します。

副反応と接種後の注意点

注射の後に腫れたり痛んだりすると、心配になって連絡をいただくことがあります。ですがこうした反応の多くは接種後によく見られるもので、数日以内に落ち着いていきます。日常生活に大きな支障が出ることはほとんどありません。主な反応は次の通りです。

重いアレルギー反応(アナフィラキシー)についてのご注意

ごく稀に、呼吸が苦しくなったり意識が遠くなったりするような重いアレルギー反応が起こることがあります。接種した直後は院内で過ごしていただき、体調に変化がないか確認します。帰宅後に異変を感じたときは、様子を見ずに当院または救急外来にご連絡ください。

よくあるご質問

Q
HPVワクチンは女性だけが対象ですか?
A

いいえ、当院では男性の接種にも対応しています。HPVは男性にも感染し、肛門がんや尖圭コンジローマの原因になるほか、中咽頭がんとの関連も指摘されているため、性別を問わず予防の対象になります。パートナーへの感染を防ぐという意味でも、男性の接種には意義があります。

Q
港区の助成はどのように利用できますか?
A

港区在住の小学6年生〜高校1年生相当の男子を対象に、HPVワクチン接種費用の助成制度があります。区が発行する予診票をお持ちいただければ、費用は無料になります。対象かどうかは、ご予約時に住民票の状況を伺いながらご案内します。

Q
接種回数や接種間隔はどのくらいですか?
A

ワクチンの種類や接種を開始する年齢によって異なり、多くは半年ほどの期間で2〜3回に分けて接種します。9価ワクチンは15歳未満で接種を開始する場合は2回、15歳以上で開始する場合は3回が基本です。詳しいスケジュールは診察の中でご案内します。

Q
接種当日に持参するものはありますか?
A

母子健康手帳をお持ちの方は持ってきていただけると、接種歴の確認に役立ちます。本人確認書類や、助成を利用する場合は自治体から届く受診券・予診票も一緒にお持ちいただくと助かります。

Q
副反応が心配です。接種後に注意することはありますか?
A

多くは注射部位の痛みや腫れ程度で、数日以内に落ち着きます。ごく稀に重いアレルギー反応が起こることがあるため、接種後は院内で少し様子を見ていただいてから帰宅していただきます。

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この記事の監修者

院長 堀 量博

院長

堀 量博(ほり かずひろ)

堀産婦人科

  • 日本産婦人科学会認定医
  • 日本臨床細胞学会指導医
  • 母体保護法指定医
院長プロフィールを見る

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