妊娠中の出血・おりものの見分け方

出血に気づくと、それだけで心配になってしまう、というお話をよく伺います。妊娠初期は着床が起こる時期に、ごく少量の出血(着床出血)が見られることがあり、色も鮮血ではなく茶色っぽい古い血液であることが多いため、必ずしも赤ちゃんに何かあったサインとは限りません。

ただし、鮮血の出血が続くとき、量が生理と同じくらいまで増えるとき、強い痛みを伴うときは、切迫流産や子宮外妊娠の可能性も考えられるため、様子を見ずにご連絡ください。出血の色や量、痛みの有無、いつからどのくらい続いているかをメモしておくと、電話でお話しするときにも状態を伝えやすくなります。

妊娠の週数や経過によって出血の緊急度は変わるため、「前回は様子を見て平気だったから」と自己判断せず、そのつどお電話をお願いします。当院では電話でも状況をうかがいながら来院が必要かどうかを一緒に考えていきますので、迷ったときこそ気軽に声をかけていただければと思います。

おりもの(腟分泌物)も、妊娠中はホルモンの影響で量が増える方がほとんどです。色が乳白色から透明で、においがそれほど強くなければ心配いりません。色が黄色や緑がかっている、強いにおいがある、かゆみを伴うときは、腟炎などの感染症のサインのこともあるため、次の健診で教えていただけると助かります。

様子を見ずにご連絡いただきたいサイン
  • 鮮血の出血が続く・量が増える
  • 生理と同程度以上の出血がある
  • 強い痛みを伴う出血がある

つわりの経過と対処法

「このつらさ、いつまで続くんだろう」と感じる時期だと思います。つわりは妊娠5〜6週ごろから始まり、多くの場合、妊娠12〜16週ごろには自然と落ち着いていきます。空腹の時間が長くなると吐き気が強くなりやすいため、決まった時間に決まった献立をとることにこだわらず、そのとき食べられるものを見つけることを優先しましょう。

つらさの感じ方には個人差が大きく、周りと比べて自分を責める必要はありません。体調がつらいときは、家事や上のお子さんのお世話を頼れる人にお任せすることも、この時期を乗り切る工夫のひとつです。

妊娠悪阻が疑われるサイン
  • 水分や食事がほとんど摂れない状態が続く
  • 体重が減少する
  • 尿の量が減る

妊娠に気づく前の服薬による影響

「妊娠に気づく前に薬を飲んでしまいました」と、申し訳なさそうにお話しされる方は少なくありません。実際にご相談いただくことが多いのは、風邪薬や鎮痛剤、持病のためのお薬です。

受精してから着床が完了するまでのおよそ2週間(妊娠3週末ごろまで)は「オール・オア・ナッシングの法則」と呼ばれる考え方があり、薬の影響が強く出る場合は着床に至らず、着床が成立した場合はその後の発育に影響を残しにくいとされる時期です。

ただ、実際に多くの方が妊娠に気づくのは生理予定日を過ぎた妊娠5週前後で、このころにはオール・オア・ナッシング期を過ぎ、赤ちゃんの体の各部分がつくられていく、薬の影響を受けやすい時期に入っていることもあります。「気づく前だから大丈夫」と決めつけず、服用した薬の名前・時期・期間は、健診のときに正確にお伝えください。

持病の治療で薬を飲み続けている方も、妊娠がわかった時点で自己判断による中断はせず、まずはそのままの状態で受診しましょう。当院ではひとつひとつ確認しながら、薬の変更が必要かどうかを一緒に考えていきます。

時期薬による影響の考え方
受精後〜妊娠3週末頃オール・オア・ナッシング期。影響が強く出る場合は着床に至らないとされる
妊娠4週以降(気づく頃には入っていることも)器官形成が進み、影響を受けやすくなる時期。自己判断せず必ず相談を

よくあるご質問

Q
お腹の痛みや張りが気になります。受診の目安はありますか?
A

子宮が大きくなる過程で、下腹部にチクチクとした痛みや軽い張りを感じることは珍しくありません。安静にして楽になる程度であれば、経過を見て問題ないことがほとんどです。痛みが強く続くとき、出血を伴うとき、いつもと違う痛み方だと感じるときは、早めに受診しましょう。

Q
妊娠中の便秘や下痢はよくあることですか?
A

妊娠中はホルモンの影響で腸の動きがゆっくりになりやすく、便秘に悩む方が増えます。水分と食物繊維を意識してとり、体を軽く動かすことが対策になります。市販薬を自己判断で使うのは避け、妊娠中でも使える薬を医師に相談しましょう。下痢が続くときや発熱・強い腹痛を伴うときは、ご連絡いただけると安心です。

Q
妊娠中のカフェイン摂取は控えたほうがよいですか?
A

大量に摂るのは避けたい飲み物ですが、コーヒー1〜2杯程度であれば大きな問題にならないという考え方が一般的です。量が気になる方は、健診のときに普段どのくらい飲んでいるかを教えていただければ、目安をお伝えします。

Q
妊娠中に入浴や温泉を利用しても大丈夫ですか?
A

通常の入浴は問題ありませんが、長時間の高温浴やのぼせやすい状況は避け、湯船につかる時間は短めにしましょう。温泉施設によっては妊婦の利用に条件を設けていることがあるため、事前に施設へ確認しておくと安心です。

Q
妊娠中の性生活は控えるべきですか?
A

出血や切迫流産・切迫早産などの兆候がない、通常の経過であれば、必ずしも控える必要はありません。感染を防ぐためコンドームを使用し、深い挿入や激しい動きは避けるようにしましょう。お腹の張りや出血があるときは、控えていただくようお伝えしています。気になる点は、診察のときに遠慮なくご相談ください。

Q
妊娠中に飛行機での移動や旅行は可能ですか?
A

安定期に入る妊娠16週以降であれば、体調が落ち着いていれば移動自体は可能とされることが多いのですが、航空会社によって搭乗できる週数の基準が異なります。長時間の移動は血栓予防のため、こまめに体を動かすようにしましょう。遠方への旅行を予定している方は、事前に健診のときにご相談いただけると安心です。

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この記事の監修者

院長 堀 量博

院長

堀 量博(ほり かずひろ)

堀産婦人科

  • 日本産婦人科学会認定医
  • 日本臨床細胞学会指導医
  • 母体保護法指定医
院長プロフィールを見る

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