女性の性感染症は自覚症状が出にくい

男性の場合は排尿時の痛みなどではっきり気づくことが多いのに対し、女性は感染しても症状が出ない、または出てもごく軽いということが少なくありません。

そのため、次のような経緯で見つかることがよくあります。

「心当たりのある機会があった」というだけで、検査を受ける理由としては十分です。 症状の有無にかかわらず、ご相談ください。

放置するとどうなりますか

クラミジアや淋菌の感染に気づかないままでいると、菌が子宮から卵管、骨盤内へと広がることがあります。その結果、卵管が癒着したり詰まったりして、不妊や子宮外妊娠の原因になることがあります。

また、妊娠中に感染していると、早産や、出産時に赤ちゃんへ感染することがあります。梅毒については、妊娠している人が感染すると胎盤を通じて胎児にも感染し、死産や早産、生まれてくるお子さんの神経や骨などに異常をきたすことがあります(先天梅毒)。妊娠中であっても、早期の治療により胎児への感染リスクを下げることができます。

主な性感染症と症状

疾患女性の主な症状潜伏期間の目安主な検査主な治療
性器クラミジア感染症おりものの増加、軽い下腹部痛。多くは無症状1〜3週間おりもの・子宮頸管のPCR検査抗菌薬の内服
淋菌感染症膿のようなおりもの、排尿時の痛み。無症状も多い2〜7日おりもの・子宮頸管のPCR検査抗菌薬の注射・点滴
梅毒初期は感染部位のしこりや潰瘍(痛みが少ない)。数か月後に全身の発疹約3週間血液検査ペニシリン系抗菌薬
性器ヘルペス外陰部の強い痛み、水ぶくれ・潰瘍、発熱、排尿時の痛み2〜10日水疱部の検査、血液検査抗ウイルス薬
尖圭コンジローマ外陰部・腟にできる、とがったいぼ。痛みは少ない3週間〜8か月視診、必要に応じて組織検査外用薬、切除・凍結など
腟トリコモナス症泡状で悪臭のあるおりもの、強いかゆみ1〜4週間おりものの検査内服薬
HIV感染症感染初期に発熱・のどの痛み・発疹など。その後、長い無症状期2〜4週間で初期症状血液検査専門医療機関での治療
B型肝炎だるさ、食欲不振、黄疸。無症状のことも1〜6か月血液検査経過観察または専門医療機関での治療
マイコプラズマ/ウレアプラズマおりものの増加、軽い違和感。無症状も多い1〜5週間PCR検査抗菌薬の内服

梅毒について

梅毒の報告数は2011年ごろから増加傾向となり、2022年以降は年間1万例を超える報告が続いています。 女性では20代の報告が多いことが特徴です。

初期にできるしこりや潰瘍は痛みが少なく、放っておいても数週間で消えてしまうため、治ったと勘違いされやすい病気です。しかし体内から菌が消えたわけではなく、その後も進行します。適切な抗菌薬による治療で治癒が期待できる病気ですので、心当たりがあれば検査を受けてください。

また、梅毒は一度治療して治っても、再び感染することがあります。 一度かかれば安心というものではありません。

なお、国の「性感染症に関する特定感染症予防指針」は、梅毒の拡大と先天梅毒の増加を踏まえ、令和7年(2025年)11月10日に改正されています。

出典:厚生労働省「梅毒」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/syphilis.html

検査を受けられるようになる時期

感染してすぐは、検査をしても陰性と出てしまうことがあります(ウィンドウ期)。心配な機会からどのくらい経ったかによって、受けられる検査が変わります。

検査項目感染機会からの目安
クラミジア・淋菌数日以降(確実性を上げるなら1週間以降)
トリコモナス1週間以降
マイコプラズマ・ウレアプラズマ1週間以降
梅毒4週間以降(6週間以降だとより確実)
HIV4週間以降(確定には3か月後の再検査)
B型肝炎・C型肝炎1〜3か月以降
性器ヘルペス・尖圭コンジローマ症状が出てから

上記の日数はあくまで目安です。検査試薬や検査方法によって、実際に検査を受けられる時期は前後することがあります。正確な時期については受診時にご相談ください。

時期が早すぎる場合でも、まずはご相談ください。 症状がある場合は、時期を待たずに診察が必要なこともあります。また、あとから再検査が必要な項目については、来院時にご案内します。

検査の方法

おりもの・子宮頸管の検査

内診台で、綿棒を使っておりものや子宮の入口の分泌物を採取します。クラミジア、淋菌、トリコモナス、マイコプラズマなどを調べます。採取自体は数秒で終わります。

血液検査

腕から採血します。梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎などを調べます。

尿検査

検査項目によっては尿で調べることもあります。

視診

性器ヘルペスや尖圭コンジローマは、外陰部の状態を目で確認します。

治療について

診断がついたら、病原体に応じた治療を行います。

治ったかどうかの確認

クラミジアや淋菌は、治療が終わってから一定期間をおいて再検査を行い、菌がいなくなったことを確認します。症状が消えても、確認の検査を受けるまでが治療です。

梅毒は、血液検査の数値の下がり方をみながら経過を追います。

治療中の注意

治療中の注意
  • 治療が終わり、治癒の確認が取れるまでは性交渉を控えてください
  • 自己判断で薬をやめず、指示された期間・回数を守ってください

パートナーの治療も必要です

一方だけが治療しても、パートナーが感染したままだと、また感染し合うことになります(ピンポン感染)。

パートナーへどう伝えるか悩まれる方も多くいらっしゃいます。お困りの場合は、診察時にご相談ください。

妊娠を考えている方へ

妊娠前に性感染症を見つけて治しておくことは、ご自身の妊娠のためにも、生まれてくる赤ちゃんのためにも大切です。

妊娠・結婚を考えているタイミングでまとめて調べたい方は、ブライダルチェックもご検討ください。

→ ブライダルチェックのページへ

費用(保険診療と自費診療)

状況扱い
おりものの異常、かゆみ、痛みなど症状がある健康保険が使えます
症状はないが、心配なので検査だけ受けたい自費診療
パートナーが診断され、症状はないが調べたい自費診療となる場合が多いです(受診時にご相談ください)
検査内容費用
保険診療(3割負担)の目安受付でお尋ねください
自費:クラミジア・淋菌6,600円
自費:梅毒・HIV・B型肝炎・C型肝炎11,000円
自費:一括検査セット(クラミジア・淋菌+梅毒・HIV・B型肝炎・C型肝炎の6項目)16,500円

※自費診療の費用はすべて税込で表示しています。 ※自費診療は保険診療との併用ができません。

プライバシーへの配慮

よくあるご質問

Q
症状がまったくないのですが、検査を受けてもよいですか。
A

もちろんです。女性の性感染症は無症状のことが多いため、症状の有無で判断せず、心配な機会があれば検査を受けることをおすすめしています。

Q
検査結果はいつわかりますか。
A

検査項目によって結果が出るまでの日数は異なり、早いものは当日中、遅いものは1週間程度かかる場合があります。詳しくは受診時にご案内します。

Q
一度に全部調べられますか。
A

複数の項目をまとめて調べることができます。ただし、感染機会からの経過日数によっては、まだ判定できない項目があります。診察のときにご相談ください。

Q
生理中でも検査できますか。
A

血液検査は月経中でも問題ありません。おりものの検査は、月経が終わってからのほうが正確に判定できます。

Q
保険証を使うと家族に知られますか。
A

保険証をご利用いただくと、加入している医療保険から届く「医療費のお知らせ」に受診した医療機関名が記載されます。ご家族に知られたくないご事情がある場合は、自費診療という選択肢もありますので、受付にご相談ください。

Q
未成年でも受診できますか。
A

受診できます。年齢によっては保護者の同伴をお願いする場合がありますので、来院前にお電話でご相談ください。

Q
パートナーと一緒に受診できますか。
A

パートナーの方の受診については、お電話でご相談ください。

Q
パートナーには内緒で検査できますか。
A

検査を受けること自体はご本人の判断で可能です。ただし、感染がわかった場合はパートナーへの説明と、パートナー自身の検査・治療が必要になります。

Q
HIV検査だけを匿名で受けることはできますか。
A

当院では通常の診療の一環として検査を行うため、匿名検査ではありません。匿名・無料での検査をご希望の場合は、保健所での検査もご案内できます。

Q
予約は必要ですか。
A

予約がなくても受診できますが、WEB予約をご利用いただくと待ち時間が短くなります。

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この記事の監修者

院長 堀 量博

院長

堀 量博(ほり かずひろ)

堀産婦人科

  • 日本産婦人科学会認定医
  • 日本臨床細胞学会指導医
  • 母体保護法指定医
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