経口中絶薬(メフィーゴ®パック)とは

経口中絶薬(メフィーゴ®パック)は、手術をせずに人工妊娠中絶を行える飲み薬です。海外では30年以上前から使用されており、日本では2023年4月に承認されました。

ミフェプリストンという妊娠を維持するホルモンの働きを抑える薬と、ミソプロストールという子宮収縮(陣痛)を起こす薬を組み合わせて服用することで、妊娠初期(妊娠9週0日まで)の人工妊娠中絶が可能になります。

当院でも経口中絶薬による人工妊娠中絶に対応しています。対象週数や手術との違いなど、当院での進め方は中絶手術についてのページでご案内していますので、あわせてご覧ください。

服用方法

安全に経過を見守る必要があるため、経口中絶薬による人工妊娠中絶は全例入院での管理となります。

母体保護法指定医のいる施設(人工妊娠中絶手術が可能で入院できる医療機関)で、入院時に1錠目のミフェプリストンを指定医師の面前で服用し、その36〜48時間後に2錠目のミソプロストールを指定医師の面前で服用します。ミソプロストールは頬の内側に2錠ずつ、合計4錠を30分間含んでから飲み込みます。

入院中は胎嚢が排出され中絶が完了するまで院内で過ごしていただきます。24時間経過しても完了しない場合は、手術による人工妊娠中絶に切り替えます。

中絶完了率・副作用について

メフィーゴ®パックの服用により、約9割の方が8時間以内に中絶が完了するとされています。一方で、海外の主要医学雑誌では次のような報告もあります。

LANCET(2020)英国NEJM(2018)米国
中絶薬1回で不成功17%16%
中絶薬を追加で投与14%5%
手術が必要になった(緊急手術含む)17%9%
出血多量で輸血3%2%
重症合併症で入院1%1%
治療完了するまでに要した日数27.0日±14.2日データなし

また、米国食品医薬品庁(FDA)は2000〜2018年の間に24件の死亡例を報告していますが、これらは服用との因果関係が確定したものではなく、報告があったという集計値です。出血や感染症など、注意すべき合併症についても報告されていることは知っておいていただきたい点です。

手術(吸引法・MVA)との比較

参考として、母体保護法指定医のいる全国の産婦人科施設4,154件を対象に行われた2012年の調査(人工妊娠中絶手術108,148件が対象)では、外科的な手術(吸引法・掻爬法)の合併症は次のように報告されています。

合併症発生件数=391発生頻度
遺残・再手術2950.3%
大量出血320.03%
子宮穿孔・損傷270.02%
ショック120.01%
重症感染症40.004%

当院では合併症の少ないWHO推奨の手動吸引法(MVA)による手術を行っています。経口中絶薬と手術のどちらにも利点・注意点があり、どちらが向いているかは妊娠週数やご希望によって異なります。診察のときにご相談いただきながら、ご自身に合った方法を一緒に考えていきましょう。

望まない妊娠を防ぐという意味では、低用量ピル等による避妊も選択肢のひとつです。詳しくはピル外来のページをご覧ください。