
妊婦さんがインフルエンザに感染したと思ったら
- かかりつけの産科ではなく、内科(発熱外来)を受診しましょう。他の妊婦さんにうつしてしまう可能性があります。
- 妊婦さんへのタミフルなどの抗インフルエンザ薬の投与は推奨されています。赤ちゃんへの悪影響は報告されていません。
ご主人など同居のご家族が感染した場合、予防的な投与を検討することもあります。
予防には家族で手洗い・うがいを励行しましょう。季節性インフルエンザワクチンの接種は例年10月以降に始まります。
インフルエンザについて
インフルエンザウイルスは寒くて乾燥した環境を好み、例年11月から4月、特に1月・2月に流行のピークをむかえます。
インフルエンザは突然発症し、38度以上の熱が出て、せきや鼻汁、のどの痛みなどのかぜ症状をともないます。潜伏期間は1〜5日(平均2日)で、強い症状が続くのは3、4日、1週間ほどで治ります。
問題になるのは、からだの免疫機能が低下している高齢者や小児で、インフルエンザをこじらせて肺炎になり、それが原因で死亡することもあります。
また小児ではインフルエンザ脳症を引き起こし障害が残ることもあります。妊婦さんの場合は抵抗力が弱まり、また薬を使う場合にも制限があるため、妊娠していないときより重症化・長期化することがありますが、ふだん健康な方であれば生命にかかわることはまず心配いらないでしょう。
インフルエンザウイルスと流産・早産の因果関係ははっきりしていませんが、妊娠初期は高熱によって流産してしまうこともあります。胎児の奇形との関連については不明です。
妊娠中のインフルエンザ予防接種
インフルエンザワクチンの母体および胎児への危険性は、妊娠全期間を通じて極めて低いとされています。接種を希望される妊婦さんはワクチンを接種することができます。
インフルエンザ予防接種の効果は、健康な成人では流行株が適合した場合70〜90%程度とされ、高い予防効果が期待できます。
予防接種に用いられるワクチンには、ごく弱く感染させて免疫をつくる「生ワクチン」と、感染力のない死菌を使った「不活化ワクチン」とがあり、インフルエンザワクチンはこの不活化ワクチンです。そのため、ワクチンを接種したことで感染することはありません。
ワクチンの添付文書には「妊娠中の接種に関する安全性が確立していない」という趣旨の記載がありますが、これは治験の対象から妊婦さんが除外されているためで、危険性が確認されているという意味ではありません。国内外のデータが蓄積されており、これまでに妊娠初期の接種で赤ちゃんに悪影響が出たという報告や、流産・奇形の危険性が高まるという研究結果はなく、産婦人科の学会でも全妊娠期間を通じてワクチン接種希望の妊婦さんに接種できるとされています。
また、お母さんにワクチンを接種することで、生まれてきた赤ちゃんにも一定の予防効果が期待できるという報告もあります。
ワクチン接種後、効果が出るまでに約2〜3週間かかり、その後約3〜4か月効果が持続します。そのため接種時期は10〜11月ごろが目安です。
予防接種を受けてから妊娠に気づいたら
妊娠初期に接種を受けたために胎児に異常が出る確率が高くなったという報告はありません。接種後に妊娠が判明しても、人工妊娠中絶などを考える必要はありません。
授乳中の予防接種
授乳中のママがワクチンを接種しても問題はありません。ただし、母乳を通じて赤ちゃんに予防効果が伝わるわけではありません。
授乳中のママがインフルエンザに感染した場合、母乳により赤ちゃんに感染を起こすことはほとんどありませんが、ママと赤ちゃんは密接な関係にあるため、うつしてしまうことは考えられます。ママに症状が出たときには、すでに赤ちゃんも感染しているかもしれません。
大切なことは、妊婦さんやママはもちろん、赤ちゃんに接する機会のある人が、日ごろの手洗い・うがいを習慣づけ、人ごみへの外出を控えるなど、インフルエンザに限らず感染症全般の予防に気をつけることです。