赤ちゃんの性別はどうやって決まるの?
人間はからだを作る細胞一つ一つの中に両親から受け継いだ2つ一組の染色体を23組ずつ持っています。
この遺伝子の集まりである染色体が顔の形、肌の色などの個体差を決めています。
半分は母親から、もう半分は父親から譲り受けているわけです。 23組の染色体のうち、22組は常染色体と呼ばれており、男性も女性も変わりありません。
残る1組は性染色体と呼ばれており、X染色体、Y染色体という2種類の染色体があり、XXの場合は女性、XYの場合は男性と、性別は性染色体の組み合わせによって決まります。

卵子と精子は染色体をそれぞれ23本持っており、受精することで23組の染色体が揃います。
卵子の性染色体はXですが、精子はX染色体を持つX精子と、Y染色体を持つY精子の2種類が存在します。
X染色体を持つ卵子とX精子が受精すればXXで女の子。
Y精子が受精すればXYで男の子となるわけです。

X精子とY精子、ここが違う!
X精子とY精子、実は性染色体としてだけではなくいくつか異なる性質があります。うみわけはその違いを利用して精子をふるい分けることによって行います。
違いはいくつかありますが、うみわけに関わるポイントをお話しします。
酸性に強いX精子・アルカリ性に強いY精子
基本的に精子は酸性の環境で活動が鈍く、アルカリ性の環境のもとで活発になるのですが、Y精子に比べてX精子は酸性の環境に強く、Y精子はアルカリ性の環境で活発になります。
このX精子、Y精子の酸性・アルカリ性に対する耐性の違いを利用して精子をふるい分けることによりうみわけを行います。
寿命の長いX精子、短いY精子
Y精子は寿命が24時間と短めなのに対して、X精子は2〜3日と長めです。この寿命の違いを利用します。女の子のうみわけの場合、排卵の2日前にタイミングを持ちますが排卵まで2日あってもX精子は元気いっぱいです。それに対して寿命の短いY精子は動きが鈍くなります。
これらの性質の違いを利用して男女うみわけを行います。
腟から子宮、卵管まで 精子のたどる遥かなる旅路
腟内で放たれた精子は腟、子宮、卵管と苦難の旅を続け、数十億の仲間のなかでただ一匹だけが卵子とはれて受精し、赤ちゃん誕生への第一歩を記します。
男女産み分けはその辛い旅路にさらに酸性・アルカリ性という過酷な環境を課します(笑)そんな厳しい環境を生き抜いてきた精子です!
妊娠が成立すれば、きっと元気いっぱいかわいい天使がご夫婦のもとに舞い降りてくることでしょう!
ではここで精子のたどる腟〜子宮の苦難の旅のお話しをいたします。
腟内は酸性:腟の自浄作用
腟の中にはデーデルライン桿菌(かんきん)といって乳酸菌の一種が存在し、腟上皮細胞内のグリコーゲンを使って乳酸をつくりだしています。
そのため、腟の中は、常に酸性(Ph4.6から5.0)に保たれています。
このことにより腟内に外界から細菌が入ってきて、繁殖することを防ぎます。
そしていつ も腟を清浄に保つのです。これを腟の自浄作用といいます。
子宮頸管はアルカリ性:頚管粘液
頸管粘液とは、子宮と腟を結ぶ子宮頸管から卵胞ホルモン(E2)の影響で分泌される粘液で、一般的に「おりもの」と呼ばれています。排卵の頃になると、精子の通過を助けるために量が増え、透明度が高くなり、粘液が糸を引くように変化します。
卵の卵白のような感じです。そしてこの頚管粘液がアルカリ性です。
頸管粘液の役割は次のとおりです。
- 細菌が子宮に侵入するのを防ぐ
- 排卵期には精子を受け入れる
- 排卵期以外には精子の進入を妨げる
頚管粘液の量は排卵日の前日〜当日にピークに達し、アルカリ性も強くなります。
男の子の産み分けはこの子宮頚管のpHの変化によりアルカリ性に強いY精子を選別します。

排卵日とタイミング
さてはるか遠い旅路をたどってきた精子、そこでめでたく卵子と受精するには、卵子が卵巣より放出される排卵のタイミングにあわせて精子が卵子に到達しなければいけません。
不妊治療で一番重要なことはいかに正確に排卵日を特定しタイミングを合わせるかということです。エコーで卵巣の中の卵子の入っている袋、卵胞の最大径を測定し排卵日を推定します。一般のタイミングでは射精後精子は数日妊娠可能で、排卵後の卵子は24時間生存しますので、一般に排卵の約4日前から1日後までは妊娠可能ですが。男女うみわけは「この日で」とピンポイントに指示します。チャンスは1日だけです!
排卵のしくみ
卵胞が大きくなり成熟卵胞となると、卵胞ホルモン(エストラジオール:E2)の値が高まります。
すると脳下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)分泌が急激に高まります。
これをLHサージといい、排卵チェッカーはこのLHサージをとらえ陽性となります。そして排卵チェックが陽性になってから24〜36時間後に排卵が起こります。



排卵検査薬(排卵チェッカー)
排卵の正確な時期は基礎体温測定ではわかりません。正確な排卵日を予測するため、LHサージを検出できるキットがあります。排卵検査薬(排卵チェッカー)は妊娠検査薬のように尿をスティックで検査することでLHサージを検出できます。(LH:30~40mIU/mlで陽性表示)ご自分で検査をすることができ、陽性表示から24〜36時間で排卵が起こります。朝、検査で陽性であれば陽性当日の夜か翌日タイミングを持ちます。
*女の子うみわけでは排卵検査薬は使えません。排卵チェッカーが陽性であれば長くとも36時間後に排卵が予想されます。産み分け女の子の場合排卵48時間前のタイミングが重要ですのでチェッカーが陽性になってはタイミングの時すでに遅しという理由です。
