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妊娠中の感染症1 花

〒108-0074 東京都港区高輪3-7-8 西町ビル1F

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妊娠中の感染症について

妊婦健診では妊娠初期より感染症の検査を行います。

 

妊婦の感染症は
  • 胎児への影響
  • 母体自身への影響

の両方の問題点があります。

 

第一の目的は母体に感染している病原体(細菌、ウイルスなど)が妊娠、分娩、授乳を通じて胎児、新生児に感染し胎児、新生児に影響を及ぼす母子感染の予防です。
妊娠中は母体の免疫環境が変化します。それにより細菌に対しの抵抗力はあまり変わらず特に重症化することはあまりありませんが、ウイルスに感染しやすくなります。そのためウイルス感染症であるインフルエンザなどが重症化したり、ヘルペスが再発することがあります。

細菌感染症である細菌性腟症 https://www.hori3541.or.jp/ruptureなどは頸管炎、絨毛膜羊膜炎を引き起こし破水早産の原因となるものの、妊娠中の胎児への直接の影響はよほど重症化しない限りありません。
また、梅毒や肝炎ウイルスなどは母体に感染している病原体が母子感染を起こし赤ちゃんへ感染することが問題となりますが、母体自身も梅毒や肝炎を発症する危険性があるため、その早期発見、治療という意味合いからも妊娠中の感染症検査はとても重要です。

母子感染の感染様式

母子感染は、流産早産や胎児奇形などの異常、出生後に症状が発現するなど様々な障害の原因となります。母体からの感染様式には3つあります。

1 胎内感染:妊娠中、赤ちゃんが子宮のなかにいるときに母体から感染するタイプで、経路は2つあります。

① 経胎盤感染:胎盤を通って病原体が胎児の血液内に侵入する。とくに妊娠初期の感染は、流産、中枢神経や各種臓器の障害や奇形など生命に関わる大きな問題となります。
② 上行感染:腟や子宮頸部(子宮の入り口)に存在する病原体が羊水などを介して胎児に感染。

2 分娩時感染:分娩時、子宮内や産道で赤ちゃんに感染を起こします。

① 経胎盤感染:分娩が始まり、胎盤が剥がれる時に母体血と胎児血に交流が生じ胎児に感染を起こします。
② 産道感染:分娩時、赤ちゃんは産道(子宮の出口〜腟)を通って生まれてきますが、産道に感染をしている病原体や分娩時の出血に触れることにより感染を起こします。

3 母乳感染:おっぱいをあげることにより母体の病原体が移行します。

母子感染の原因となる病原体は種類により感染経路が異なります。では病原体の種類と感染経路についてまとめてみます。

 

☆:当院初期検査に含む / ◎:高頻度 / ○:稀

 

ウイルス
病原体 胎内感染 産道感染 母乳感染
☆風疹    
☆B型肝炎  
☆C型肝炎  
☆HIV(エイズ)
☆ATL(HTLV−1)
サイトメガロ
パルボ(リンゴ病)  
水痘・帯状疱疹  
単純ヘルペス    
麻疹    
インフルエンザ     
新型コロナ      

 

細菌
病原体 胎内感染 産道感染 母乳感染
☆梅毒  
淋菌    
(☆) B群連鎖球菌    
リステリア    

 

原虫
病原体 胎内感染 産道感染 母乳感染
☆トキソプラズマ    

 

その他
病原体 胎内感染 産道感染 母乳感染
☆クラミジア・トラコマティス    

TORCH症候群とは

胎内感染により胎児に重篤な症状を引き起こす感染症を総称して「TORCH症候群」といいます。

T oxoplasmosis・・・トキソプラズマ
O thers ・・・その他 B型肝炎、C型肝炎、梅毒など
R ubella・・・風疹
C ytomegalovirus・・・サイトメガロウイルス
H erpes simplex・・・単純ヘルペス

 

近年では個々の病因を追求することが重視され「TORCH症候群」という分類の意義は薄れてきています。

それでは個別に説明いきましょう。病原体別に「ウイルス」「細菌」「その他」にわけて解説します。
なお、産婦人科診療ガイドライン産科編では
HBs抗原、HCV抗体、風疹抗体、梅毒スクリーニング、HTLV-1抗体、HIVスクリーニング、トキソプラズマ抗体の検査が推奨されています。

堀産婦人科

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