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初回の妊娠健診の内容と流れは?事前に知って不安解消 花

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初めての妊娠

 

今回は

・各国の周産期〜幼児の統計
・母子手帳
を中心にお話ししていきます。

 

初めての妊娠は特別な期間であり、妊娠中の健康管理は非常に重要です。妊娠初期の健診は、ママと赤ちゃんの健康を守るために欠かせません。 しかし、初めての妊娠健診はどのような内容で行われ、何を聞かれるのか不安に感じるかもしれません。そこで、この記事では初回の妊娠健診の流れや内容について詳しく解説します。事前に知っておくことで不安を解消し、より健やかな妊娠生活を送りましょう。

妊娠健診で検査する基本項目をチェック!

妊娠中の健康管理は、ママと赤ちゃんの安心・安全な出産に欠かせないものです。妊娠期間中は、母体や胎児の状態を定期的に確認することが必要です。

 

妊娠中の健診では様々な検査が行われますが、基本的な項目は把握しておきたいですよね。そこで、ここからは妊娠健診で検査される基本項目について紹介します。妊娠中のママと赤ちゃんの健康を守るため、チェックしておきましょう。

妊婦健診の内容とスケジュールは?

妊婦健康診査(以下、妊婦健診)は母体、胎児双方の健康状態について全般的な確認を行うことを目的としています。特定の疾患を発見する目的の「検診」とは趣旨が異なります。
妊婦健診では、切迫流早産、代謝異常(妊娠糖尿)、妊娠高血圧症候群、胎盤位置異常、胎児機能不全などの早期発見のため、

毎回行う検査

1・体重測定
2・血圧測定
3・子宮底長(子宮がお腹のどのあたりまで大きくなっているか)測定
4・腹囲測定 *有用性が不明なので省略可
5・尿検査(糖・蛋白)
6・胎児心拍確認
7・浮腫(むくみ)評価

初診時(妊娠6、7週)から妊娠12週までは、初診時の妊娠の確認、分娩予定日の決定、初期検査を含む概ね3回程度の診察を行います。
妊婦健診の回数に関しては妊娠初期(妊娠12週程度)〜23週までは4週間ごと、妊娠24〜35週は2週間ごと、36週以降は毎週、合計14回ほどの妊婦健診が推奨されています。

 

 

妊婦健診で異常所見があれば健診間隔の短縮、保険診療、必要に応じた入院や周産期センターなど高次施設への紹介を行います。

各国での妊婦健診事情

しかし、実際のところ妊婦健診の適切な間隔や回数についての十分なエビデンスはないんです。どういうこと?
それでは本当に現在の日本の妊婦健診システムが有効なのでしょうか。
この場合、“有効”ということは妊娠中のおかあさん(妊婦さん)、胎児、出生後の赤ちゃん、おかあさんが健やかに生育できているかということが唯一の証(あかし)となります。では海外の妊婦、胎児、赤ちゃんの死亡率の統計を比較してみましょう。

 

本当に妊婦健診は有効? 〜海外の妊産婦、新生児、乳児の各種統計〜

統計は
1・妊産婦死亡率
2・周産期死亡率
3・新生児死亡率
4・乳児死亡率
5・幼児死亡率
に分けられます。海外では統計が取られていない場合もありますが見てみましょう

 

  1. 1

    妊産婦死亡とは妊娠中および妊娠終了後42日未満の女性が妊娠と関連した原因で死亡した数です。多くは分娩時のトラブルによるものが多く、「産後10日目に交通事故で亡くなった」は含まれません。妊産婦死亡率は出産10万例に対する妊産婦死亡の数です。

  2. 2

    周産期死亡とは妊娠22週以降の死産と生後7日未満の新生児死亡数の合計で、周産期死亡率は周産期死亡数を年間の出産数(出生数と死産数の合計)で割ったものに1000をかけ合わせた数です。
    1000×(年間の周産期死亡数)/(年間の出生数)

  3. 3

    新生児死亡とは出生後28日未満のあかちゃんの死亡のことで、新生児死亡率は年間出生1000人に対する新生児死亡数です。

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    乳児死亡とは出生後1年未満、満1歳になるまでに亡くなる赤ちゃんの数で、乳児死亡率は出生1000人に対する乳児死亡数です。

  5. 5

    幼児死亡とは出生後5年未満、満5歳までに亡くなる赤ちゃんの数で、幼児死亡率は出生1000人に対する幼児死亡数です。

では各統計を見てみましょう
まず、妊産婦死亡率と周産期死亡率です。周産期死亡率はアフリカ諸国などは生後何日で亡くなったなど詳しいデータを取ることが困難なため、統計が取れている国が少なく、先進国のみのデータです。

 

妊産婦死亡率ワーストは

 

妊産婦死亡率 (2017年)
1 南スーダン 1,150
2 チャド 1,140
3 シエラレオネ 1,120
4 ナイジェリア 917
5 中央アフリカ 829
6 ソマリア 829
7 モーリタニア 766
8 ギニアビサウ 667
9 リベリア 661
10 アフガニスタン 638

 

上位各国

 

妊産婦死亡率 (2017年)
163 日本 5
163 ルクセンブルグ 5
163 オランダ 5
163 スロバキア 5
163 スイス 5
171 デンマーク 4
171 アイスランド 4
171 スペイン 4
171 スウェーデン 4
175 チェコ 3
175 フィンランド 3
175 ギリシャ 3
175 イスラエル 3
175 アラブ首長国連邦 3
180 ベラルーシ 2
180 イタリア 2
180 ノルウェー 2
180 ポーランド 2
  世界平均 211

 

となります。ご覧になってお分かりのようにワーストの諸国のお産は命懸け、10万人に1000人ですから約100人に1人がお産のために命を落としてしまいます。
アメリカが以外と高いですね。
周産期死亡率は日本が世界最低です!フランスが高めですね。このグラフにはありませんが、2020年のデータでメキシコが11.60、コロンビアが11.00、その次がトルコでそしてフランス、以下続くです。

 

新生児死亡率:出生1,000人あたりの新生児死亡率 (2022年)

新生児とは生後28日以内の赤ちゃんのことです。

順位 国名・地域名 新生児死亡率
レソト 44
2 パキスタン 40
南スーダン 40
4 中央アフリカ共和国 39
5 ソマリア 37
6 アフガニスタン 35
6 ギニアピサウ 35
6 ナイジェリア 35
9 チャド 35
9 コートジボワール 33
11 マリ 32
12 リベリア 31
12 モーリタニア 31
15 ペナン 30
15 ジブチ 30
180 イタリア 2
15 ドミニカ 30
15 ギニア 30
19 コモロ 29
19 赤道ギニア 29

 

では乳児死亡率を見てみましょう。これも出生1,000人あたりの乳児死亡率です。乳児というのは満1歳までの赤ちゃんです。1歳になる前に亡くなってしまう赤ちゃんの割合です。1990年のデータと2021年のデータを示します。

 

国名・地域名 1990年の乳児死亡率 2021年の乳児死亡率
シエラレオネ 117 78.30
中央アフリカ 156 75.40
ソマリア 108 71.10
ナイジェリア 125 70.60
チャド 112 66.00

 

ちなみに5歳未満の死亡率、幼児死亡率は(2021年)

順位 国・地域 幼児死亡率(2021年)
1 ニジェール 115.20
2 ソマリア 111.80
3 ナイジェリア 110.80
4 チャド 107.10

 

ではベスト10を見てみましょう。まずは新生児死亡率(2022年)

順位 国・地域 幼児死亡率(2021年)
182 モンテネグロ 1
182 ノルウェー 1
182 韓国 1
182 スロベニア 1
182 スウェーデン 1
190 エストニア 1以下
190 アイスランド 1以下
190 日本 1以下
190 サンマリノ 1以下
190 シンガポール 1以下
  世界平均 17

2017年の日本の新生児死亡率は0.9 で世界最低、「赤ちゃんが最も安全に生まれる国」でした。

 

乳児死亡率はどうでしょう。(2021年)

順位 国・地域
187 スウェーデン 2.00
188 モンテネグロ 1.90
189/th> フィンランド 1.80
189 ノルウェー 1.80
189 スロベニア 1.80
192 日本 1.70
192 シンガポール 1.70
194 エストニア 1.60
195 サンマリノ 1.50
196 モナコ 1.00
  世界平均  

新生児死亡率も乳幼児死亡率も日本は世界最低レベルです。

 

どうでしょう、これらの統計を見ても、日本は妊婦、赤ちゃんの死亡率が世界最低レベル、現状の妊婦健診システムは有効であり、高度な周産期医療と相まって、世界最高水準の安全なお産が維持されていると言えそうですね。

小児救急は改善の余地あり

最近、子供がベランダから落ちた、保育園でのどに物を詰まらせたなど、悲しいニュースをよく聞きます。
妊婦さんと1歳までの赤ちゃんはご覧になった通り鼻高々の成績ですが、5歳未満の幼児死亡率となると世界で21位、(10万人あたり24.5人)先進7カ国になかではアメリカに次いでワースト2に急落します。アメリカの場合は他殺の割合が多いのも原因のひとつで、少し古いですが2004年の論文では先進14カ国の中で死亡率全体ではアメリカがワーストですが他殺を除いた疾患による死亡率は日本が最悪です。
これは従来の小児科医療が開業医中心で、幼児の死亡原因の大きな割合を占める不慮の事故、誤飲や転落、溺れなどを含む重症小児救急患者に迅速対応できないことが幼児死亡率を高めるひとつの原因となっています。NICU(新生児集中治療室)など周産期医療は集約化が進んでいますが、小児科領域でも国の後押しで対策に乗り出しています。当院のある港区でも港南(田町)の愛育病院が慈恵医大のバックアップのもと小児救急センターを開設して大活躍中です。

それでは次に日本における妊産婦死亡、周産期死亡の推移をみてみましょう

 

 

妊産婦死亡率は1950年ごろより急激に低下しています。ちなみに統計を最初に算出した明治32年は410、明治35年に400を切り(392.9)、大正13年に300を切り(295.3)、昭和17年に200を切っています(196.9)。そして昭和38年に92.7で100を切り、その後激減して行きました。
その理由は衛生環境や医療技術の発展など公衆衛生の向上ももちろんですが、1950年代以降の急激な減少の理由の一つが分娩場所の変化です。それまではお産は家でするもの、家に産婆さんがやってきて取り上げていましたが、1950年代以降、病院や産院といった医療施設での分娩に移行して行きました。

 

 

グラフを並べるときれいに逆相関していますね。
そしてもう一つの大きな要因が母子手帳を活用した妊婦健診の普及です。

母子手帳は日本生まれ

妊娠確認後、区役所、市役所に妊娠届*1を提出すると母子手帳と各種補助券*2が交付されます。実は現在世界中で使われている母子手帳、日本が発祥の地なんです。
*1 妊娠届には「結核」「性病」に関する記入欄があります。なにか唐突なのですが、これは母子保健法に「性病及び結核に関する健康診断の有無」の記載が義務付けられているからです

 

*2 妊婦健診に関する各種助成、健診費用、血液検査費用、超音波検査、子宮がん検診などの助成があります。内容は自治体により異なります。

 

母子手帳、正式名称は母子健康手帳、最近ではパパも仲間に入れて親子手帳、親子健康手帳の名称を用いている自治体も増えてきました。ここでは母子手帳に統一します。
日本で誕生して、いまや世界の約50の国や地域で使用されている母子手帳は、世界の年間出生数1.4億人(2021年)の約16%、年間2,200万冊が母親の元に届けられ、世界の母子保健に大きく寄与しています。

母子手帳の生い立ち

それでは母子手帳の生い立ちを追ってみましょう。
太平洋戦争直前の1937年(昭和12年)に保健所法(現在の地域保健法)が施行され、妊産婦と乳幼児の保健指導が保健所の職務とされました。そして1942年(昭和17年)に妊産婦手帳制度がスタート、あわせて国民体力法に基づき乳幼児体力手帳が発行されました。そして1948年(昭和36年)ふたつの制度を統合し母子手帳が生まれました。

 

 

そもそも、戦前の保健所法による政策は戦時体制下「産めよ殖せよ」といった日本軍の徴兵制度のための極端な人口増加政策の一環、要するに兵隊さんをたくさん作るために子供をたくさん産みましょうということですね。当初の目的は少しキナくさいものがありますが、結果的にはその政策が奏功していきました。
戦後、全ての国民が日々の生活に喘いでいた時、母子手帳は産声を上げました。みな食べ物に困っていた時代母子手帳が食料配給の手帳の役も果たし砂糖や粉ミルクなどが配給されました。「お母さんと子供の健康を守りたい」という当時の日本社会全体の思いがたくさん詰まった母子手帳、ミルクが手に入るということもあり、爆発的に普及し当時の妊産婦の約70%が交付を受けたと推定されます。
どうでしょう、今のちょっとピントのぼけた少子化対策に比べて、なんと即効性のある政策だったんでしょう。

 

母子手帳に記載される内容

母子手帳の役割は、妊娠中、出産、新生児、乳幼児それぞれの時期を超えて母子をサポートします。この「妊娠」「出産」「育児」という時期は産科施設、自宅、小児科と場所や専門も異なります。母子手帳にそれぞれの健診や医療、予防接種などのデータを記録し、保護者が持っていることで引っ越しや転院があっても情報を共有することができます。
では母子手帳の内容を見てみましょう

 

1 妊婦の健康状態・妊娠中の経過の記録
2 出産の状態と産後の経過
3 乳幼児の発育等の記録(発育曲線)
4 予防接種や歯科検診の記録
5 健やかな妊娠・出産・育児のためのアドバイス 育児のしおり

 

 

従来母子手帳は小学校入学までの記録でした。しかし、子供の成長は6歳で区切られるものではありません。以前は学齢期前に終了していた各種予防接種も、今は入学後にも接種します。また大人になってから過去の接種記録が必要になることがあり、その場合入学前と後がちがう記録より、ひとつにまとまっていた方が利便性に優れています。2012年の母子手帳改正のときに大きな進歩がありました。母子手帳の中で自治体が自由に編集できる「任意記載事項」として18歳までの身長体重、予防接種の記録を記載できるようになりました。

 

2023年の改訂

今回11年ぶりに母子手帳の内容が改正されました。まず、その名称。今時「母子」はないんじゃね?という意見は前回の改正時からありましたが、父親の育児参加が重要視されている昨今の社会情勢を考慮しても、母子手帳という名前は国民に浸透しており、やはり妊娠中、出産後のママに対して情報提供を行うことが最重要であることは変わりなく、最終的に母子保健法に基づく「母子健康手帳」の名称は引き続き使用されることになりました。う〜〜ん。いわゆる「自民党保守派」の匂いがしますな。しかし、「父親」「母親」ではなく「保護者」という表現が使われています。そのほか。デジタル化の推進、産後うつや産後ケアについての記入欄、父親の記載する欄を増加などの改正がありました。社会情勢や医療の進歩に伴い母子手帳も日々進化しているのですね。 ちなみに港区は「みなと母子手帳アプリ」としてさまざまな機能を連携させたアプリを運用しています。

 

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