妊娠中の花粉症対策

そろそろ花粉症(スギ花粉症)のシーズンがやってきます。去年(2005年)の大流行に比べて今年は15~70%、例年の60~80%程度の予想ですが、妊娠、授乳中は使える薬も限られるため早め早めの対策が必要です。

現在、日本人の約20%が花粉症患者といわれており、花粉症の妊婦さんも多く外来にみえますが治療に苦労することが少なくありません。花粉は体にとっては異物であり、これを排除しようと体が判断した場合、抗体という物質をつくります。そして再び花粉が体の中に入るとヒスタミンという物質が分泌されて、くしゃみで吹き飛ばそう、鼻水や涙で洗い流そうとするため症状となって現れます。

妊娠中はホルモン分泌の増加などにより、体に水分を蓄えようとしたり、鼻の粘膜が過敏になるため、花粉症は悪化しやすいといわれています。

花粉症の予防

妊娠中の花粉症対策には薬が使いづらいため、セルフケアと予防が重要です。

〔1〕体調を整える

花粉症対策だけではなく妊娠中はいつも心がけましょう。疲労やストレスは自律神経を過敏にしてアレルギー反応を起こしやすくします。睡眠をよくとり疲れをためないように、また水泳などの運動は血行を良くしストレス解消にもなります。

〔2〕一般的な予防対策

花粉の多く飛ぶ日や時間帯は外出を控える。マスク、帽子などを着用する。 洗顔、うがいをこまめに行う。室内の掃除や洗濯物をよくはたいてとり込む。 など一般的な予防法を徹底してください。

〔3〕飲食物・・・予防効果のあるもの、控えたいもの

  • 乳酸菌・・・ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌はアレルギーになりにくい体質をつくります。また腸内細菌を増やし便通を良くします。
  • ポリフェノール・・・アレルギーを抑える働きがあるものもあります。ロズマリン酸を多く含むシソ(赤ジソ)のジュースや沖縄の植物クミスクチンやローズマリー、レモンバームなどのシソ科植物のハーブティーもおすすめです。
  • 甜茶(テンチャ)・・・GOD型ポリフェノールが豊富です。甜茶にはカフェインが含まれていないので妊娠中でも安心して飲むことができます。しかしこれらは食べて(飲んで)すぐ効果が現れるものではありません。

香辛料などの刺激物は鼻の粘膜の毛細血管を広げ鼻づまりをひどくするため控えるようにしましょう。(お酒はもちろん控えましょう)

妊娠中の花粉症治療

【薬物療法】

花粉症治療にはステロイドなどの点鼻、点眼やネブライザー、スチームなどの局所療法と抗アレルギー(抗ヒスタミン)薬の内服がありますが、妊娠中は使える薬が限られてくるため、点鼻、点眼などによる局所の治療が主体になります。

胎児への影響(奇形など)が少なくなる妊娠中期以降は、局所療法で効果の見られないときなど、使用経験の長い内服薬(ポララミンなど)を併用することがありますが、古典的な薬なので眠気や効果の面でも満足のいくものではありません。最近の抗アレルギー(抗ヒスタミン)剤は眠くならず治療効果の高いもが多いのですが妊婦さんに対する安全性が確立されていない‥‥使用期間が短いため太鼓判が押せないため飲まないに越したことがない‥ので使いづらいのが実情です。また漢方薬の小青竜湯を用いることもあります。

治療中に妊娠していることがわかったら

花粉症の内服治療中に妊娠がわかったときは耳鼻科の先生と相談して内服薬を点鼻、点眼薬に変更してもらってください。それまで飲んでいた薬のおなかの赤ちゃんへの影響はあまり神経質になることはありません。どうしても心配であれば産科の主治医の先生に相談してください。

※妊娠中の薬についてはまた詳しくお話する予定ですが、妊娠のごく初期、受精後2週間は影響がありません(all or none の法則)。また、確かに花粉症の薬のなかには“妊娠中は服用してはいけない(禁忌)”の薬も含まれますが、ヒトで奇形などの障害が起こったという報告はなく、あくまで動物実験のデータに基づいてのことです。また花粉症治療中で妊娠する可能性のある方や、妊娠中にはじめて耳鼻科を受診される方、授乳中の方は必ずそのむねを先生に伝えてください。

【レーザー療法】

最近、耳鼻科では花粉症の治療として、鼻の粘膜をレーザーや薬品で焼いてしまう治療法が行われています。妊娠中でも行える治療法ですので症状の強い方は耳鼻科の先生に相談してみてはいかがでしょうか。

外に出るのがおっくうになった寒さもだんだんゆるんでいきます。元気印のプレママさんは花粉を怖がらずに予防策をとってお散歩に出かけましょう。春のいぶきをぜひ赤ちゃんにも感じさせてあげてください。