子宮頸がんとはどんな病気?

子宮頸がんとは子宮の下部にある、子宮頸部(腟部)という部位に発生するがんです。
子宮の入り口に発生するため、診察時に肉眼で確認できるため婦人科検診(がん検診)で発見しやすいがんです。
多くは異形成といってがんになる前の状態から、時間をかけてゆっくりと進行し、がんになる細胞が増えていきます。初期に発見できれば小さな手術(円錐切除)ですみ、完治します。
進行すると治療が難しく、リンパ節や他の臓器に血液を通じて転移し、手術が困難になり、放射線治療行います。後遺症として排尿障害や下肢の強い浮腫などがあります。
もちろん子宮を取ってしまうので赤ちゃんを育むことはできません。(最近は病変部だけを切除し子宮を残す手術も行われますが、再発率が高い術式です)
子宮頸がんになるリスクは30代がピークで、主に30代後半から40代に多いと言われていますが、近年ではより若い20代から30代の若い女性においても増加傾向にあります。

子宮頸がんの原因とは?

子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。パピローマウイルスは100種類くらい存在し、子宮頸がんに関わるものは15種類ほどです。子宮頸がん患者のほとんどから検出され、30歳未満の女性の約30%前後(もっと多いという報告もあります)に検出され、30再以降でも約10%、女性の生涯を通じて80〜95%は一度は感染すると言われています。HPVは子宮頸がんと深く関わる高危険群(ハイリスク)とそれ以外の低危険群(ローリスク)が存在します。高危険群に感染してもほとんどがからだの免疫機構により排除されますが、排除されないごく一部のHPVが持続感染となり、子宮頸がんへと移行してゆきます。

HPV感染を簡単に言えば「HPV感染はごく普通にみられ、大部分は自然に治ってしまう感染症で、たまたま高危険群が長期に感染した場合に子宮頸がんを引き起こすウイルス感染」と言えます。

子宮頸がんの症状とは?

子宮頸がんになる前の異形成と呼ばれる時期は自覚症状がありません。この状態から数年かけてがんになりますが、ごく初期の子宮頸がん(0期)でも症状はありません。この時点で発見されれば子宮を摘出することはなく円錐切除といって子宮の入り口(腟部)を切除するだけで完治します。不正出血や性交後の出血、茶色のおりもの、おりものの量が増えるなどの症状を認めたときには、すでに浸潤がんであり、子宮を取る手術を行います。さらに進行すると出血が多くなり、腹痛や腰痛が現れることもあります。

子宮頸がんの死亡率とは?

日本国内で毎年子宮頸がんを発症する女性の人数は約11,000人、子宮頸がんが原因で亡くなる人数は約3,000人で2000年以降、患者数、死亡率ともに上昇しています。

子宮頸がんを予防するには?

子宮頸がんは突然発症する病気ではなく、ウイルスに長期間感染し続け、がんになる前段階の「異形成」という段階を経て癌化するために、がんに進行する前に検査で発見することができます。がんに近い「高度異形成」やごく初期のがん「上皮内がん」であれば、子宮の入り口を削り取る「円錐切除術」で完治し、子宮を摘出する必要はなく、もちろん命に関わることはありません。そのためには定期的な検診が大切で、痛みや症状がなくても検診を受ける必要があります。

また、子宮頸がんを予防するHPVワクチンの接種があります。HPVワクチンは9種類のHPVをブロックし、そのために子宮頸がんの約9割を防ぐことができます。すなわち毎年子宮頸がんが原因で亡くなっている約3,000人の9割が命を落とすことがなくなり、その何倍もの人が子宮を失う、赤ちゃんを産むことができなくなることを防ぐことができるということです。HPVワクチンは定期接種なので無料で受けることができます。以前は厚労省が接種勧奨(ワクチン接種を勧める)をしていました。現在は副反応の問題があったため勧奨はしていませんが申し込めば無料で接種(12〜16歳)できます。

子宮頸がん検診とは?

子宮頸がん検診では子宮の入り口(腟部)の細胞を採取し、顕微鏡で癌細胞やその前段階(異形成など)の細胞がないかを調べます、綿棒やブラシで採取し、出血するケースもありますがすぐにおさまるので心配はいりません。

異常があった場合はコルポスコープという拡大鏡を用いて、わずかな組織を採取し組織診を行い確定診断とします。

検診を受けた人が40%以上と高い割合で検査が浸透している地域では子宮頸がん死亡率が63.5%減少し、検診を受けた人が10%台と低い地域では子宮頸がん死亡率減少は33.3%となっており検診の重要性が示されています。

20歳を迎えたら2年に一度の検診が推奨されています。ワクチン接種後も子宮頸がん発症のリスクがあります。ワクチン接種の有無に関わらず定期的な検診を受けることが大切です。

子宮頸がんワクチンとは?

子宮頸がんワクチンとは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐHPVワクチンを意味しています。現在接種されているのは4価(4つのタイプのウイルスをブロックする)ワクチンで、そのうち子宮頸がんのリスクとなるハイリスクグループの16型と18型を含み、この2つで子宮頸がんの約65%を予防することができます。海外では9価のワクチンが主流で、この9価ワクチンだと、約90%の予防が可能です。我が国でもやっとこの9価ワクチン(シルガード9)が認可され、近々接種可能になります。

ワクチンを接種した場合、接種していない人と比較してヒトパピローマウイルス(HPV)への感染率、前がん病変の頻度が抑えられたというデータが日本、先進国で認められています。
最近、子宮頸がん自体も減少するというデータが出始めました。がんになるまで感染してから数年以上かかるため、がん自体の報告は時間が経過しないとわからないためです。
現段階でがんを予防できるワクチンは子宮頸がんワクチンとB型肝炎ワクチンのみです。

子宮頸がんワクチン接種年齢は?

HPVが性交渉を介して感染するため、性交渉を開始する前の若年女性への接種が重要で、10歳から14歳の女性への接種が最も推奨されており、15歳から26歳までの間の接種がキャッチアップ接種として次に推奨されています。我が国では10歳以上の女性への接種が接種対象となり、無料となる定期接種は小学校6年生〜高校1年生の間に3回接種するスケジュールとなっています。26歳以上では45歳まで効果があるといわれています。

子宮頸がんワクチンの副反応とは?

子宮頸がんワクチンの副反応は注射部位の疼痛、腫脹、紅斑があり、接種者の約8割の方にみられます。まれに失神が見られるため、接種後30分の経過観察が必要です。これらの副反応はHPVワクチン特有のものではなく、他のワクチン接種でも認められます。問題になった重篤な副反応、アナフィラキシー、気管支痙攣、蕁麻疹などの過敏反応、ギラン・バレー症候群(抹消神経の障害のため、四肢、顔面、呼吸器官などに麻痺が起こる疾患で、男女年齢に関わらず年間10万人に1,2人が発症する)、脳脊髄炎などはおよそ100万回から400万回の接種に1回の確率で起こると言われています。 HPVワクチンは2009年にワクチンが承認され2013年に定期接種とされましたが、接種後の重篤な副反応に注目が集まり、一時「子宮頸がんワクチン接種後発症するHPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)」とされ、マスコミでも被害者女性や支援団体がテレビに出演し、支持する議員や団体などが大きく取り上げられ、HPVワクチン接種は危険だという状況になりました。その風潮を受け同年、厚労省は接種を勧める“積極的勧奨”を中止し、今に至っています。

現在では「子宮頸がんワクチン接種後〜症候群」は根拠となった論文が捏造とまではいえないが不適切とされ、重篤な副反応はHPVワクチン接種に特有なものだとする考えは科学的根拠がなく否定されています。また2015年には名古屋市民の小学校6年生から高校1年生を対象に7万人に及ぶ「名古屋スタディ」が河村市長の肝いりで行われ、結果はワクチン接種したグループと接種しないグループで副反応の出現は変わらない(むしろ接種グループの方が低い)という画期的な研究結果が発表されましたが、当時はマスコミでは盛り上がりを見せていた副反応被害の報道に冷や水をかけることになる情報を広くは伝えなかったため、HPVワクチンは恐ろしいものだというイメージを払拭することは出来ませんでした。

子宮頸がんワクチンの接種率とは?

定期接種が始まった頃のHPVワクチン接種率は70%以上と高い割合でしたが、積極的な勧奨はしないと定められてから、現在では1%未満となっています。ワクチンの存在自体を知らない人が多いのが現状で、仮に自治体に問い合わせても担当者が詳しく知らなかったり、今だに「そんなワクチン打つんですか」といった対応をされたという話も聞きます。

現段階において「積極勧奨の中止」という状態にあり、自治体からお知らせや問診票が届くことはありません。しかし定期接種の対象であることには変わりなく、希望すればHPVワクチンを接種できます。日本における定期接種は小学校6年生〜高校1年生の間に3回接種するスケジュールとなっています。

最後に。
最近、当院でもHPVワクチンの相談、実際接種するかたが僅かではありますが増えています。また政府、自治体もワクチンの有効性を認め、今後、接種勧奨が再開されると思います。また男性への接種も検討されています。ぜひ、皆さんご自分、そして娘さんを子宮頸がんから守るためにワクチン接種をお考えになってみてください。