生薬辞典

今回の特集で扱った漢方薬の構成生薬をまとめてみました。漢方薬はいくつかの生薬の組み合わせで構成されています。生薬の組み合わせの意味として

  1. 薬効の方向性を決定する。(薬能)
  2. 薬効の増強。(相乗効果)
  3. 毒性の抑制。(副反応の防止)

があり、また生薬の持つ薬性を寒、涼、温、熱の4つに分類し四気といいます。

たとえば、寒の気を持つ薬物は体内の熱を冷まし、消炎解熱的、鎮静的な作用を持っており、この作用を清熱作用と呼んでいます。温、熱の作用を持つ薬物はからだの冷えや寒邪を除き、からだを温め、衰えた新陳代謝を回復し、抵抗力を強める作用があります。

また生薬や漢方薬は漢字と読み方が難しいのでなにか特別な、山の奥深くに生える貴重なクスリを想像しますが、こうしてみると生姜や紫蘇のようにふだん口にするものやみかん類、キノコ類、牡蠣の殻や桃の種。多くの雑草など以外と身近なものが多く、医食同源、食べることの大切さを再認識しました。しかしゴキブリやアブさらには水銀、砒素(砒石)となると‥‥。恐るべし漢方としかいえません。

材】:素材、基原 【成】:成分 【効】:効果、効用 【方】:含まれる方剤 【付】:おまけ

阿膠(あきょう)

【材】
牛や馬、羊などの毛を除いた皮や骨、腱を加熱して抽出した膠(にかわ)。
【効】
血液の循環、凝固促進。排尿関係の壮強、子宮の出血、下血、吐血の止血。

烏薬(うやく)

【材】
クスノキ科テンダイウヤクの根を乾燥したもの。
【効】
健胃、整腸、腸蠕動亢進作用。気滞や気逆による腹部の痛みに広く用いられる。

黄耆(おうぎ)

【材】
マメ科ナイモウオウギ、キバナオウギの根。
【効】
免疫賦活、抗酸化、抗腫瘍、抗アレルギー、抗炎症、血圧降下作用など。
【方】
黄耆は人参に類似した薬理作用を持ち、人参の補助薬として用いられる。人参と黄耆が配合された方剤は補剤として重要であり、参耆剤(じんぎざい)と呼ばれる。参耆剤は人参湯類と同様に疲労と倦怠を主目標として、胃腸機能が低下し、心身ともに衰えた慢性病患者の各種症状に用いられる。

黄芩(おうごん)

【材】
シソ科コガネバナの根
【効】
肺の熱をとり、全身の水の巡りを改善。肌のうるおいを保ち、抗酸化、メラニン生成抑制作用。
【方】
柴胡とともに柴胡剤として、また黄連とともに瀉心湯類として用いられる。瀉心とは「心下のつかえ感を去る、心下につかえているからそこにものを入れて緩解さす」とある。

黄柏(おうばく)

【材】
ミカン科キハダの樹皮。
【効】
抗菌、健胃作用。二日酔いにも。

黄連(おうれん)

【材】
葛キンポウゲ科。根茎を用いる。
【効】
健胃、整腸薬。苦みが強い。
【方】
瀉心湯類として用いられる。

遠志(おんじ)

【材】
ヒメハギ科イトヒメハの根。
【効】
鎮静、催眠作用。抗消化性潰瘍、去痰、利尿作用。

艾葉(がいよう)

【材】
ヨモギのこと。キク科の多年草。瀉
【効】
健胃、下痢、貧血、止血薬、皮膚の保温効果を高める。鎮静作用。
【付】
日干しで乾燥させればお茶に。お灸に使う「もぐさ」の原材料。もぐさは漢字で「艾」。

莪朮(がじゅつ)

【材】
屋久島産のショウガ科の多年草。通称紫ウコン。
【効】
健胃、殺菌、強心、抗炎症、抗潰瘍、抗ガン作用、利尿作用など。

葛根(かっこん)

【材】
マメ科の葛の根を乾燥したもの。秋の七草のひとつ。
【効】
発汗、解熱、鎮咳、うなじの痛み。
【付】
くず湯、くず切りのくず。アメリカでは害草のひとつ。

滑石(かっせき)

【材】
珪酸アルミニウムという白色の粘土鉱物。
【効】
胃腸で有害物質や水分粘液などを吸着し胃腸炎に、また腎臓の炎症をとり頻尿、排尿障害に有効。

瓜蔕(かてい)

【材】
ウリ科マクワウリの蔕(へた)。
【効】
痰や涎による喘息、たべものが胃に停留して生じる胸が張って苦しい場合に用いその催吐作用で嘔吐させる。妊婦、体質虚弱者には禁忌。

乾姜(かんきょう)

【材】
ショウガの根茎を湯通しし、皮をとって煮沸乾燥したもの。
【効】
鎮静、鎮痛、解熱、鎮咳、鎮吐、抗消化性潰瘍、腸管内輸送促進、利胆作用など。

甘草(かんぞう)

【材】
マメ科の多年草。
【成】
グリチルリチン。
【効】
咳、咽頭痛をおさえ免疫増強作用があるため風邪に効果的。健胃、整腸作用、解毒、肝機能強化。低カリウム血症を引き起こすことがあるが、緩衝剤として漢方薬の75%に配合されている。
【付】
グリチルリチンは砂糖の50倍の甘さがあり低カロリーなのでダイエットにも。

甘遂(かんつい)

【材】
トウダイグサ科の多年草カンスイの根。
【効】
通便、逐水効果があり、便秘、乏尿、浮腫、胸水、腹水などに用いる。激しい瀉下作用と利尿作用があり峻下逐水薬のひとつに分類される。毒性が強く妊婦や体力の低下しているものには使用しないこと。

桔梗(ききょう)

【材】
秋の七草のひとつ桔梗の根を乾燥したもの。
【成】
サポニン。
【効】
鎮咳去痰

菊花(きくか)

【材】
キク科のキクまたはシマカンギクの頭上花。
【効】
抗菌、抗真菌作用。解熱、解毒、鎮痛、消炎。動脈硬化、高コレステロール血症。

枳実(きじつ)

【材】
ミカン科のダイダイその他の未熟果実。
【成】
フラボノイド、クマリン、リモネン。
【効】
芳香性苦味健胃、去痰、排膿、緩下剤。

杏仁(きょうにん)

【材】
バラ科のアンズ、ホンアンズの種。
【効】
鎮咳、去痰。喘息や咳、呼吸困難。

桂皮(けいひ)

【材】
クスノキ科。シナモン、肉桂である。根の皮が桂皮で若枝を乾燥させたものが桂枝である。
【効】
多くの漢方薬に配合され、血管の収縮による止汗や拡張による発汗を調節、とくに発汗を促すことによって解熱する。鎮痛、発汗、健胃、解熱、抗アレルギー作用。
【方】
代表的な方剤、桂枝湯:桂枝、芍薬、大棗、生姜、甘草の五味の加減方を桂枝湯類として重要な方剤群である。

紅花(こうか)

【材】
アザミに似たキク科の花で、古名を末摘花(すえつみばな)、紅藍(べにあい)、久礼奈為(くれない)とよばれ真黄色の花を咲かせる。
【効】
血流を良くして血液の欝滞を除く作用がある。婦人用薬として活血、通経、駆瘀血、止痛効果があり、月経痛、月経異常、冷え症、貧血、頭痛、更年期障害に用いる。
【付】
種からは紅花油(べにばな油)が採れる。温めた酒を注いで紅藍花酒として、また酒にひたして薬用酒としても良い。草木染めや食品の着色料としても用いられる。

香附子(こうぶし)

【材】
カヤツリグサ科ハマスゲの根茎を乾燥したもの。
【効】
鎮痛、子宮収縮抑制、月経不順、月経痛。食欲不振などを伴う神経性胃炎、慢性胃炎。に使用する。

厚朴(こうぼく)

【材】
モクレン科のホウノキの樹皮。
【効】
筋弛緩、抗痙攣、鎮静、抗消化性潰瘍、抗炎症、抗アレルギー、血圧降下、鎮吐、抗菌作用。胸部や腹部の腫れ、膨満、腹痛。

牛膝(ごしつ)

【材】
ヒユ科牛膝、川牛膝(イノコズチモドキ)の根を乾燥したもの。
【成】
多量のカリウム塩を含む。
【効】
鎮痛、利尿、鎮痙、降圧。

呉茱萸(ごしゅゆ)

【材】
ミカン科のゴシュユ、ホンゴシュユの未熟果実。
【効】
健胃、利尿、鎮痛作用。

五味子(ごみし)

【材】
マツブサ科チョウセンゴミシの果実。
【効】
鎮咳、止瀉、滋養強壮薬として慢性の咳や喘息に効果的。

柴胡(さいこ)

【材】
セリ科のミシマサイコまたはその変種の根。
【成】
サポニン。
【効】
中枢神経抑制、鎮静、鎮痛、鎮咳。平滑筋弛緩作用。抗消化性潰瘍、抗炎症、抗アレルギ作用、脂質代謝改善、免疫賦活、血糖低下作用。
【方】
黄芩とともに柴胡剤として多用される。自覚症状として、熱感、食欲不振、口苦、悪心、嘔吐、便秘、軟便、心煩、倦怠感、いらつき、憂鬱。他覚所見として白舌苔、腹証として胸脇苦満を認めるときに用いる。
【付】
三島地方ではまちがって食べて体調を悪くするため、野生の柴胡が自生するところには子供を近づけなかったそうである。

細辛(さいしん)

【材】
別名ウスバサイシン。根を使用する。
【効】
アレルギー作用により、くしゃみ、鼻水を抑え、抗炎症作用によりのどの痛みを抑える。去痰作用もあり、感冒、気管支炎、喘息に効果的。

山梔子(さんしし)

【材】
クチナシの木の実を乾燥したもの。
【効】
胆汁分泌促進、胃液分泌抑制、鎮痛、降圧。鎮静、消炎、止血、解熱、利胆薬として、炎症による精神不安、吐血、血尿、充血、黄疸に。打撲傷の外用薬としても使用する。

山茱萸(さんしゅゆ)

【材】
別名ハルコガネバナ、アキサンゴ。秋になる珊瑚のような赤い実を用いる。
【効】
強壮、収斂作用。

酸棗仁(さんそうにん)

【材】
クロウメモドキ科のサネブトナツメの種子。
【効】
鎮静、鎮痛、血圧上昇作用。鎮静催眠薬として不眠症、神経症、健忘症などにも。妊婦は注意。

山薬(さんやく)

【材】
ヤマイモまたはナガイモの皮を除いた根茎。
【効】
血糖降下、男性ホルモン増強、止瀉作用。

山稜(さんりょう)

【材】
カヤツリグサ科荊山稜(ウキヤガラ)の塊根を乾燥したもの。
【効】
薬理作用は吸収促進作用。莪朮と併用すると効果が増強し、腹腔内腫瘤、月経不順に効果がある。妊婦、月経過多には使用しない。

地黄(じおう)

【材】
ゴマノハグサ科のアカヤジオウ、カイケイジオウの根。
【効】
強壮、解熱、止瀉、緩下などの目的で貧血、吐血などに用いる。
【方】
地黄を主要な構成成分とする方剤を地黄剤という。地黄には補血滋陰作用があり、補血剤、滋陰剤として用いる。

地骨皮(じこっぴ)

【材】
ナス科のクコの根皮。
【効】
解熱作用が強く、鎮咳、降圧、血糖降下作用。

芍薬(しゃくやく)

【材】
ボタン科で世界最古の観賞用植物のひとつ。
【効】
鎮痛、鎮静、鎮痙。末梢血管拡張、抗炎症、抗アレルギー、免疫賦活作用。女性に処方される漢方薬の多くに含まれるが子宮収縮を妨げる作用があるため産後には用いない。当帰とともに用いると補血、補陰作用が強くなるため当帰芍薬散がよく用いられる。

車前子(しゃぜんし)

【材】
オオバコ科オオバコの種。
【効】
利尿、鎮咳、消炎、止瀉。体内の不要な水分を除くとともに熱を取る。

麝香(じゃこう)

【材】
ジャコウジカの雄の袋状腺嚢の分泌物を乾燥させたもの。
【効】
芳香開窮薬として高熱時の意識障害や脳卒中、痙攣発作、狭心痛、分娩促進、死胎、胎盤が排出されない場合に用いる。もちろん妊婦は禁忌。
【付】
香水に使うムスクのこと。

シャ虫(しゃちゅう)

【材】
シナゴキブリ、サツマゴキブリの雌の成虫!!
【効】
血液凝固阻止作用、溶血作用。駆瘀血作用、鎮痛作用、血行障害による無月経、腹腔内腫瘤、打撲外傷の腫脹、疼痛などに。妊婦は禁忌。

生姜(しょうきょう)

【材】
ショウガ。蒸して乾燥したものは乾姜。
【成】
ショウガオール、ジンゲロン、ジンギベレンなどの辛味や芳香成分。フラボノイド。
【効】
血行を促進し身体を温め、新陳代謝を活発にして、発汗作用を高める。強い殺菌作用。香り成分のシネオールには食欲増進、疲労回復、健胃、解毒、消炎作用。辛味、香り成分には抗酸化作用がある。吐き気止め、風邪、鼻づまり、冷え、頭痛、咳、食欲不振に。つわりにも効果あり。
【付】
お寿司屋さんのガリには殺菌、食欲増進効果があるのです。

升麻(しょうま)

【材】
キンポウゲ科サラシナショウマの根茎。
【効】
鎮痛、鎮静、鎮痙、解熱、抗炎症、免疫抑制など。のどの痛み、口内炎、口臭、化膿性疾患。

商陸(しょうりく)

【材】
ヤマゴボウ科のヤマゴボウの塊根。
【効】
強力な利尿剤、駆瘀血剤として浮腫、腹水、肝硬変に用いるが妊婦や体力の低下したものには禁忌である。
【付】
ヤマゴボウの種名Phytolacca esculantusは「食べることができる」の意味だが食べない方が身のため‥‥。また高原の観光地で売られているものはまったくの別物でモリアザミというキク科の植物。

辛夷(しんい)

【材】
モクレン科モクレンの花蕾を乾燥したもの。
【効】
鼻づまりを通し、鎮痛、局部の収斂作用。副鼻腔炎、慢性鼻炎による鼻づまり、頭痛に効果がある。

水銀(すいぎん)

【材】
水銀
【効】
腫瘍やかさぶたに良い。
【付】
水銀は古来より貴重な鉱物。丹砂(たんさ)は硫化水銀のことで最高の仙薬とされた金丹(きんたん):〔丹砂+金〕は飲めば仙人になれるといわれた。

水蛭(すいてつ)

【材】
蛭(ウマビル)!を乾燥させたもの。
【成】
新鮮なヒルの唾液腺にはhirudin という抗凝血素やヘパリン、抗血栓素などを含む。
【効】
血液凝固抑制、溶血作用があり、血滞閉経、瘀血、硬結、腫瘤、打撲による内出血、癌など陳旧性の頑強な瘀血に用いる。溶血作用があるため妊婦には禁忌である
【付】
ヨーロッパでも古くから生きているヒルを患部の皮膚に吸い付かせる瀉血療法を行ってきた。19世紀、フランスだけで1年に3000万匹のヒルが使用されたという記録が残っている。

川芎(せんきゅう)

【材】
セリ科のセンキュウの根茎。
【効】
鎮静、鎮痛薬として。貧血、冷え症、月経不順などの婦人病に。

前胡 (ぜんこ)

【材】
セリ科白花前胡の根を乾燥したもの。
【効】
去痰作用,冠状動脈血流量の増加作用、鎮静作用。咳嗽、粘稠な痰、頭痛、発熱、呼吸困難、胸が苦しいなどの症状。柴胡に較べて去痰作用が強い。

蒼朮(そうじゅつ)

【材】
キク科のホソバオケラ、シナオケラの根茎。
【効】
健胃、利尿、発汗、鎮痛。

蘇葉(そよう)

【材】
シソ科のシソの葉。種は紫蘇子といい同様に用いる。
【効】
発汗、解熱、鎮咳、鎮痛薬として気管支炎、胃腸炎などに去痰、消化促進の目的で用いる。
【付】
ハーブとして食卓のさまざまな場面で活躍するが、味と香りだけではなく解毒作用があるため魚肉などの中毒予防に。

大黄(だいおう)

【材】
タデ科の根茎。
【成】
センノサイドとタンニン。センノサイドは単一抽出されて西洋薬として市販されている。
【効】
大腸の働きを活発にし緩下剤として作用。瀉下作用の他、抗菌、消炎、鎮痛効果。

大棗(たいそう)

【材】
クロメモトキ科のナツメ(棗)の成熟果実を乾燥したもの。
【効】
強壮作用、疲労回復、婦人病の諸症状、不眠。
【付】
生食もでき、乾燥したものは中華料理などの食材に。

沢瀉(たくしゃ)

【材】
オモダカ科サジオモダカの塊茎。
【効】
抗肝障害作用。利尿、止瀉薬として頻尿、めまい、口渇などの症状に。
【付】
オモダカといえば、そう、猿之助、右近の澤瀉屋!

丁子(ちょうじ)

【材】
熱帯性のフトモモ科の常緑樹。和名はつぼみの乾燥品がクギのような形で“丁”の字に似ていることに由来する。
【効】
健胃、食欲増進作用。胃痛や腹痛に対する作用。抗菌、抗ウイルス作用。源氏物語にも丁子染として登場する。防虫、薫香が主な用途であった。

釣藤鈎(ちょうとうこう)

【材】
アカネ科カギカズラ、トウカギカズラを薬用にしたもの。
【効】
筋肉、神経の興奮を抑える。高血圧の頭痛、めまいに。

猪苓(ちょれい)

【材】
サルノコシカケ科のチョレイマイタケの菌核。舞茸の仲間。
【効】
利水作用、解熱、止渇作用として口渇、腎臓疾患に応用する。

陳皮(ちんぴ)

【材】
ミカン科柑桔の果皮を乾燥させたもの。中国では古いもの程よいとしているので陳皮の名がある。ポンカンなどが用いられる。
【効】
健胃、去痰、鎮咳作用があり、食欲不振や嘔吐、疼痛、咳嗽などに用いる。

当帰(とうき)

【材】
セリ科のトウキの根を湯通ししたもの。
【効】
血管拡張、鎮静、鎮痛、抗炎症作用。養血、理血効果により温補鎮痛の働きを発揮する。貧血、冷え症、月経不順、など婦人病薬の主薬である。

桃仁(とうにん)

【材】
桃の種。
【効】
鎮痛、消炎、解毒、通便作用。月経痛や月経不順にも用いる。

人参(にんじん)

【材】
ウコギ科のオタネニンジンの根を乾燥させたもの。朝鮮人参。
【効】
胃腸を丈夫にし、滋養強壮、疲労回復。大脳皮質の刺激により血圧降下、呼吸促進、インシュリン作用増強、赤血球、ヘモグロビン増加作用が認められている。
【方】
人参湯類、人参は強壮、代謝、免疫賦活作用などを有し、虚証の治療には重要な生薬である。人参を含む方剤は多数あるが、人参を配合し虚証の胃腸疾患に用いる人参湯が代表的な方剤であり、使用目的が共通することから人参湯類と総称される。また黄耆とともに参耆剤として同様に用いられる。

麦門冬(ばくもんどう)

【材】
別名、ジャノヒゲ、竜のひげ。冬に青い小さな実をつける。ユリ科で根の膨大部を用いる。
【効】
鎮咳去痰、止渇、血糖降下、滋養、催乳。

巴豆(はず)

【材】
トウダイグサ科ハズの種子。同科の植物にトウゴマがあり種子はヒマシ油(生薬名:蓖麻子)として用いる。
【効】
食中毒や他の中毒など毒を速やかに体外へ排出する峻下剤として用いたが現在は薬用利用されていない。ハズ油を含む生薬製剤は薬事法上「劇薬」扱いである。

薄荷(はっか)

【材】
シソ科のハッカ。和種薄荷(ジャパニーズミント、ニホンハッカ)緑薄荷(スペアミント)西洋薄荷(ペパーミント)等の総称。
【成】
乾燥葉を水蒸気蒸留すると精油が得られ、この精油をマイナス20度に冷却すると結晶が析出する。これがL-メントール(薄荷脳)である。
【効】
中枢抑制、血管拡張などに効果があり、芳香性健胃、かぜの熱、頭痛、めまい、消化不良などに用いる。外用薬として筋肉痛などの湿布薬として、また精油(ハッカ油)や入浴剤としても用いられる。
【付】
日本に自生しており万葉の時代には「めぐさ」と呼ばれ、疲れ目などに用いた。ニホンハッカはメントールを多く含むため、合成メントールが出来る前は世界中に輸出されていた。

半夏(はんげ)

【材】
サトイモ科カラスビシャクの塊茎。
【効】
鎮静、鎮痛、抗ストレス、鎮吐、鎮痙、唾液分泌亢進、抗消化性潰瘍、腸管内輸送促進、免疫賦活、抗アレルギー、抗ウイルス効果。吐き気、のぼせに有効。

砒石(ひせき)

【材】
酸化物類鉱物の砒華、アルセノライト。
【効】
少量を強壮剤として用いた。
【付】
砒石は猛毒の亜砒素を大量に含んでおり、殺鼠剤として用いた。

白止(びゃくし)

【材】
セリ科ヨロイグサなどの根を乾燥させたもの。
【効】
鎮痛、中枢興奮、抗菌作用。かぜの頭痛、前額部の痛み、副鼻腔炎による張ったような痛みに。

白朮(びゃくじゅつ)

【材】
キク科のオケラの根茎。
【効】
強い抗炎症作用。漢方医学的には補脾、すなわち胃腸の貯留した水分を除きその運動機能を回復させることにより食物からエネルギーを効率よく回収し気を充実させることをいう。腎機能の減退による尿量減少、身体疼痛、胃腸炎、浮腫。滋養強壮。蒼朮とはオケラの種類がちがう。

檳榔子(びんろうじ)

【材】
シュロ科の檳榔の成熟種子。一種の紅色素。
【効】
殺虫、駆虫。健胃、抗ウイルス、抗真菌作用。条虫、回虫などの虫下し薬。

茯苓(ぶくりょう)

【材】
サルノコシカケ科。アカマツやクロマツの根に寄生する真菌類、マツホドの菌核を乾燥したもの。
【効】
利水生薬であり、沢瀉や猪苓などと使うと強力な利水漢方薬となる。(五苓散など)抗腫瘍作用、免疫賦活、抗炎症、腎障害改善、強心、抗潰瘍作用。全身衰弱、動悸、尿量減少に。

附子(ぶし)

【材】
トリカブト属キンポウゲ科の多年草。
【成】
アコニチンというアルカロイド。毒性が強く、矢毒や槍毒として用いられた。熱処理をして毒性を弱め(修治という)使用する。1本の根で5人が死ぬ。
【効】
熱処理をすると毒性は1/150に弱まるが、鎮痛、強心作用は変わらない。交感神経を亢進させ新陳代謝を促す。心機能を高め尿量を増やす。関節痛、四肢の冷え。
【方】
構成生薬に附子を含むものを附子剤という。附子剤は虚症、寒証の温熱薬、鎮痛薬、利水、強心薬として位置づけられる。

防已(ぼうい)

【材】
ツヅラフジ科オオツヅラフジのつる性の茎、根茎。
【効】
利尿、消炎、鎮痛。

芒硝(ぼうしょう)

【材】
天然の含水硫酸ナトリウム。
【効】
緩下作用、血液凝固抑制作用で便秘に用いる。

虻虫(ぼうちゅう)

【材】
血を吸うアブ。日乾か陰乾し頭、脚、翅を取り除き生のままか炒って用いる。
【効】
水蛭(ヒル)同様、血液凝固阻止作用や溶血作用があり強い破血効果があるため堕胎薬として用いられることもある。血行障害による無月経、打撲外傷の腫れ、疼痛などに用いる。

牡丹皮(ぼたんぴ)

【材】
牡丹の根皮。
【効】
血行改善、抗炎症作用。駆瘀血剤として痔や婦人薬として用いる。

牡蠣(ぼれい)

【材】
牡蠣(カキ)の貝殻。動物性生薬。
【成】
炭酸カルシウム
【効】
重鎮安神薬として。同じ動物性生薬の竜骨とともにもちいられることが多い。制酸剤やカルシウム剤。

麻黄(まおう)

【材】
マオウ科。砂漠の雑草といわれるただの草。
【成】
気管支拡張作用のあるエフェドリン、メチルエフェドリン、炎症を抑えるプソイドエフェドリン、末梢血管を収縮させて腫れを抑えるフェニルプロパノールアミンなど
【効】
発汗薬、喘息薬とされ、呼吸困難、せき、悪寒、頭痛、発熱、疼痛に用いる。
【方】
麻黄を主材とする処方を麻黄剤といい組み合わせる生薬によって効能はおのおの異なる。桂枝と配合すると発汗、杏仁や石膏とは鎮咳、白朮とは利尿などである。麻黄剤は慢性疾患にも用いられるが、急性熱性疾患の初期の太陽病期と闘病反応の弱い少陰期に多用される。
【付】
エフェドリンは明治18年、世界で初めて長井長義によって麻黄から発見された。

麻子仁(ましにん)

【材】
麻の実。
【成】
脂質、タンパク質、亜鉛。
【効】
便通効果、皮膚炎予防、滋養作用。

木通(もくつう)

【材】
アケビのつる性の茎。
【効】
利尿、抗炎症、抗消化性潰瘍、抗コレステロール作用。利尿、鎮痛、神経痛、リウマチ、月経痛。

木香(もっこう)

【材】
キク科インドモッコウの根を乾燥したもの。
【効】
腹痛、下痢、嘔吐に用いる。胃腸の蠕動を正常化し、消化不良に使用すると消化を促進して食欲を増し、痛みを止める。

益母草(やくもそう)

【材】
シソ科ヤクモソウの全草を乾燥したもの。
【効】
婦人科の常用薬。産後の子宮収縮不全による悪露の持続、腹部のはった感じや痛みには子宮収縮作用によって止血する。月経痛、腎炎の浮腫、血尿。

洋金花(ようきんか)

【材】
ナス科チョウセンアサガオ。別名、曼荼羅華(まんだらげ)キチガイナスビ。
【効】
鎮痙、喘息、鎮痛作用。麻酔作用。
【付】
江戸時代の外科医、華岡青洲が天保6年(1835年)世界で初めて麻酔を用いた手術(乳癌手術)を行った。その麻酔薬「通仙散」の主成分が曼荼羅華の花と草烏頭(トリカブト)である。有吉佐和子さんの小説、「華岡青洲の妻」の物語である。

薏苡仁(よくいにん)

【材】
イネ科ハトムギの種皮を除いた種。
【効】
エキス剤として消炎、鎮痛、利尿作用。皮膚再生、保湿作用があり肌荒れを防止し基礎化粧品として。またイボなどの腫瘍を取る効果も。妊婦は注意。

竜眼肉(りゅうがんにく)

【材】
ムクロジ科のリュウガンの果実。
【成】
ブドウ糖、ショ糖、酒石酸など。
【効】
身体が疲れたときの甘味の補給、精神安定、貧血、精神衰弱、ノイローゼ、病後の衰弱。

竜骨(りゅうこつ)

【材】
古代の大型脊椎動物の骨格の化石。
【成】
炭酸カルシウム、リン酸カルシウム。
【効】
鎮静、収斂、消炎、去痰、止血作用。高血圧症や神経衰弱でみられる不眠、ふらつき、目がくらむなどの症状に用いる。下痢、帯下、不正出血などには収斂作用を利用する。

蓮肉(れんにく)

【材】
スイレン科の蓮(ハス)の種子を乾燥したもの。
【効】
冷え性で貧血傾向で月経異常、倦怠感、めまい、肩こり、四肢の冷えなど。

蘆薈(ろえ)

【材】
ユリ科キダチロカイ(キダチアロエ)。
【効】
苦味健胃、緩下剤として。火傷、切り傷、虫さされにはゼリー状の部分を患部にはりつける。妊婦は注意。
【付】
ヨーロッパや中東では紀元前から薬用に用いられていた。アラビア語の「アロエ」に漢名で蘆薈という字をあて、それが日本に伝わり音読みにして「ロカイ」になった。