マスクはやっぱり効果あり

2009年に世界中で大流行した新型インフルエンザ(A/H1N1 2009)に最初に感染した患者に接触した医療従事者で、マスクをしていた人に患者から感染した例はなかったことが今回の調査でわかりました。

アメリカ・マサチューセッツ総合病院小児科のJenifer L. Jaeger先生たちは、後に新型インフルエンザの最初の感染者と特定された8人のうち6人に、世界保健機構(WHO)がパンデミック宣言をした同6月12日以前に接触した医療従事者63人を対象に調査を行ったところ、最初の感染者から感染したと考えられる9人全員がマスクもしくは防塵マスクを着けていなかったと発表しました。Infection Control And Hospital Epidemiology (2011;32:1149~1157)

またマスクを1回以上着用した20人では新型インフルの感染者はいなかったそうです。

Jaeger先生を代表研究者とする米疾病対策センター(CDC)に よる今回の研究では、パンデミック宣言前の2009年3月28日~4月24日に、米・南カリフォルニア州にある病院、診療所3施設に勤務していた医療従事 者のうち、最初の感染者と特定されたうちの6人と1.8メートル以内の接触をした63人(女性48人、平均年齢35歳)を対象に調査を行いました。

対象者の内訳は次の通り。勤務場所は病棟44人、外来19人、職種は医師、看護師6人、登録看護師、登録栄養士18人、保健スタッフ33人、サポートスタッフ6人です。

最初の感染者との接触回数、肌と肌の接触回数、呼吸分泌物への接触、手袋、ガウン、マスク、防塵マスクなどの個人防護具の着用状況などのデータを集め、新型インフル感染について血液検査を行いました。

個人防護具を着用していたのは63人中46人でした。勤務場所は病棟40人(91%)、外来6人(32%)と外来に比べて病棟では着用率が3倍高かったことが分かりました。

個人防護具の中でもマスクあるいは防塵マスクの着用に限ると、全体の着用者は19人で、病棟18人(41%)、外来1人(5%)とこちらも病棟勤務者の着用率が高かったそうです。

マスクは意外としてませんね。

一方、血液検査の結果、最初の感染者からの感染と認められる陽性者は63人中9人(症状あり:3人、症状なし:6人)で、勤務場所別では病棟3人、外来6 人と病棟に比べ、外来が2倍でした。病棟勤務者は44人で外来は19人なのですから感染者の実数よりさらに高い割合で外来勤務者が感染していたことが分か ります。(19人の内なんと6人!)

そしてマスク、防塵マスクを接触時に1回以上着用したと答えた20人は全員が血液検査では陰性でし たが、陽性の9人を含む43人が着けていなかったと答えており、マスクや防塵マスクの着用が新型インフルエンザ感染者との接触時における予防と関連してい ることがわかりました。

私も最近はマスクをして外来をやってますが、どちらかというとお酒臭いのを隠すのと、マスクをしていると診察中にあくびをしてもばれないからです‥‥。

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どうやら「うがい」は効果あり

「うがい」って日本独特の習慣だって知ってました?

うがいは日本では平安時代から行われているそうですが、欧米では下品な行為とされ、ほとんど行われていないそうです。へぇー。

先日の「爆笑問題」で東大医科研の教授が「インフルエンザ予防にうがいは意味がない」と話していましたが、「うがい」ってほんとに風邪の予防になるのでしょうか?

実際、風邪などの原因となるウイルスは短時間で細胞の中に取り込まれてしまうため、予防効果を疑問視する研究者も多いのですが、今回、浜松医科大学・健康 社会医学の野田龍也先生が、毎日うがいをする子供は、うがいをしない子供よりも発熱性疾患にかかりにくかったという世界初となる調査結果を発表しました。Journal of Epidemiology(2012:22;45~49)

調査は2006年1~2月の20日間、福岡市の保育所145ヶ所で、2~6歳の子供1万9,595人を対象に行いました。

保育所で1日1回以上、水道水や緑茶などでうがいを行ったグループと、行っていないグループに分け、37.5度以上の発熱をした子供の割合を調べました。

その結果、うがいをする子供が発熱した割合は0.4%だったのに対して、うがいをしない子供は1%が発熱をしていました。

また、うがいをしない子に比べ、発熱疾患にかからなかった割合では、緑茶が68%と最も高く、機能水(アルカリイオン水など)54%、食塩水50%、水道水30%の順でした。

野田先生は「うがいが、のどの奥にウイルスが付着するのを防ぐなど、一定の効果があることが確認できた」と分析。効果的だった緑茶については「カテキン成分が殺菌作用を大きくさせているのでは」と推測しています。

また以前お話したように、イソジンでのうがいはあまり意味がない そうです。どうやらイソジンのヨードが口の中の粘膜の常在細菌叢(いわゆる善玉菌)も“消毒”してしまったためか、刺激で粘膜の表面の細胞を壊してしまったためだと考えられます。

ちなみに「うがい」の語源は「鵜飼」だそうです。

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10代の受動喫煙が難聴のリスクに

本人がタバコを吸わなくても、他人の吸ったタバコの煙や灰皿でくすぶっている煙を吸い込む受動喫煙が10代の難聴のリスクを倍増させていることが、ニューヨーク大学ランゴン医療センターのAnil K. Lawani教授たちの研究で明らかになりました。
Archives of Otolaryngology Head and Neck Surgery 2011;137:655~662

アメリカでは小児の約半数が日常的に受動喫煙に曝されている環境にあるといいます。

これまでの研究から、出生前や小児期の受動喫煙が低出生体重から呼吸器感染症、問題行動に至るさまざまな健康状態に悪影響を与えることが報告されています。

また、受動喫煙は中耳炎危険因子として知られており、厚生労働省〔21世紀のたばこ対策検討会(第1回)〕も提言をしています。

アメリカでは受動喫煙に曝されている小児の約6割に反復性急性中耳炎が見られます。そのため教授たちは受動喫煙が聴覚の発達に影響を及ぼし、感音難聴を引き起こす原因となる可能性に着目、2005~06年の米国保健栄養調査(NHANES)のデータから、12~19歳の非喫煙者1,533例を対象に受動喫煙を含めた青年期における感音難聴の危険因子について検討しました。

なお、対象には健康状態や家族の病歴、受動喫煙への曝露の有無、聴覚障害に対する自分での認識についてのインタビューを行いました。

さらに身体診察、ニコチンから作られるコチニン血中濃度の測定や聴覚検査などの検査を行いました。

その結果、受動喫煙に曝されていなかった場合に比べて、受動喫煙に曝露されたグループでは、低周波および高周波の難聴の発症率が約2倍高いことが分かりました。

この難聴の発症率は血液検査によるコチニン値の増加とともに上昇し、累積的に増えることが分かりました。

また感音難聴と分かった10歳代の約8割が自分の障害に気づいていなかったことも分かりました。

教授は「若年期の難聴はその後の身体の発達や機能に障害を与える原因になりうるため、今回の研究結果は重要な意味を持つ」と指摘し、「今回の結果が他の研 究でも確かめられれば受動喫煙は難聴の危険因子として認められる可能性がある。それにより多くの若者が難聴の検査を受けるようになるだろう」と話していま す。

以上から教授は「受動喫煙を受けた青年は聴力検査を頻繁に受ける必要がある」と結論付け、さらに日常生活での娯楽や職場での騒音、受動喫煙といった難聴の危険因子についても教育していく必要があるとの考えを示しました。

タバコは中耳炎や難聴といった聴力障害の他に、タバコ弱視をはじめとする視力障害、臭いや味の分からなくなる臭覚、味覚障害など感覚器全般にも健康を損ねる影響を与えます。

そりゃ、タバコの煙りは目や喉にしみますもんね。

耳にはしみないですけど。

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卵巣を残しても子宮摘出は閉経を早める

子宮筋腫などで子宮を摘出する症例で閉経まで時間がある場合、ホルモンの作用を保ち、骨量の減少や心疾患はじめさまざまな健康障害のリスクを増やさないために、少なくとも1つの卵巣を残すことが一般的です。

しかし、卵巣を残しても子宮を摘出した女性は、子宮がある女性に比べて早く閉経するリスクがほぼ2倍あることが、米デューク大学地域・家庭医療部准教授のPatricia G. Moorman先生たちの研究で明らかになりました。
Obstetrics & Gynecology 12月号

先生たちは、30~47歳の女性約900人を5年追跡調査しました。約半数の女性が子宮摘出を受けましたが少なくとも1つの卵巣は残しました。研究の結 果、卵巣を残したにも関わらず子宮摘出を受けた女性の15%近くが研究機関中に閉経しましたが、摘出手術を受けていない女性は8%のみが閉経に至りまし た。

閉経のリスクは片方の卵巣を切除した女性で最も高くなりましたが、両方の卵巣を残した女性でも増大しました。

先生たちは「子宮摘出術を受けた女性は受けていない女性より約2年早く閉経が起きる」と推定しています。そして「今回の研究によって早発閉経が子宮摘出術に関連して起きるリスクであることが確認された」と話しています。

先生は「子宮摘出術は子宮筋腫や過度の出血など多くの症状に対する一般的治療法であり、ほとんどの女性は結果に非常に満足している。しかしこれは外科手術 のメリットとともに考えるべきリスクである。閉経が早まるとわかれば患者が別の治療選択を望む場合があるため、この研究結果により診療の道筋が変わる可能 性がある」と話しています。

なぜ子宮を摘出すると閉経が早くなるのでしょうか。論文では摘出術を受ける女性、すなわち、手術を受ける原 因となる疾患、子宮筋腫や子宮内膜症自体に早発閉経のリスクがある可能性があることを指摘していますが、この点についてはいくつかの報告があるようです が、広く受け入れられる説ではありません。

私は手術の操作で卵巣に栄養を運ぶ血管にダメージを与えてしまうのではないかと思うのですがどうでしょうか。

最近日本では子宮を全て取ってしまう子宮全摘術は以前に比べて行われなくなりました。またお腹を開く開腹手術は内視鏡手術に取って代わって、あまり行われなくなりました。

ご存知の通り、タラコはタラの卵巣。サケの卵巣(卵)は筋子、イクラ。ニシンは数の子。ウニは卵巣と精巣。ボラはカラスミ。トビウオはトビッコ。キャビアはチョウザメの卵ですね。

ちなみに、上の写真はナマコの卵巣を干した“クチコ”です。お酒が止まりませんねぇ。

しかし、だれが最初にナマコの卵巣を食べようと思ったのでしょうか。それも干して‥‥。

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多くの病院、労働基準法違反

都道府県や市町村が運営する基幹病院(200床以上)の過半数が、過去9年間の間になんらかの形で労働基準法に違反し、労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、小児科出身で小児科医療をはじめ我々医師の労働環境についてさまざまな発信をしている広島国際大学江原朗教授の調査で明らかになりました。
日本医事新報 2011;4569 29~33

中には8回にわたって勧告を受けた病院もあり、違反の理由では、時間外や休日における勤務に関するきまりのないことや、深夜や休日の勤務に対する割増賃金の未払いが多かったそうです。

私たちにしてみれば別に驚く結果ではなく、過半数ではなく全例のはずですけどねぇ。

教授は都道府県や政令指定都市、市町村が運営する自治体病院のうち、地域の基幹病院としての役割りを担う200床以上の施設を対象に、情報公開制度を用いて調査を行いました。

2002年3月19日から11年3月18日にかけて労働基準監督署から各病院に交付された是正勧告書の数や、その内容について分析しました。

その結果、都道府県や政令指定都市が運営する病院(144施設)の55.6%に当たる80施設が9年間で延べ130回の是正勧告を受けていました。

また市町村が運営する病院では情報公開制度により是正勧告の有無が明らかになった224施設のうち、57.1%に相当する128施設が延べ189回の勧告を受けていました。

労働基準法違反の内訳では、都道府県や政令指定都市が運営する病院では、時間外・休日の労使協定を結ばずに法定労働時間を 超えた時間外勤務や休日出勤をさせていた「労働時間」に関する違反が67.7%と最も多く、時間外や休日、深夜労働への割増賃金を支払っていなかった違反 (40.0%)、就業規則の作成や届け出の義務に対する違反(16.2%)、賃金台帳に関する違反(12.3%)などの違反も多く、この結果は1施設で複 数の指摘を受けた例を含みます。

さらに教授は、市町村が運営する病院について、規模別に是正勧告を受けた比率を分析しました。その結 果、200~299床の病院では46.8%、300~399床では46.7%と全体の平均57.1%を下回りましたが、400~499床では65.2%と 増え、さらに500~599床では76.9%、600床以上は86.7%と勧告を受ける病院の割合が急増しており、病院の規模が大きくなるにつれ労働基準 法に触れる勤務の割合が高まることも明らかになりました。

江原教授によると、多くの市町村では病院の管理運営を担う職員が、専門外の他部局から異動してくる事例があり、このため、医療現場での適切な労務管理ができていない可能性があるといいます。

例えば、医師の休日・夜間の救急外来を宿日直として慣例的に扱い、夜勤とするより人件費を抑えていたケースがあるといいます。これはどういうことかというと、日本では医者の「当直」といえば、忙しい救急外来や小児科などでは寝る間もなく診療に当たります。

これは「当直」ではなくて「夜勤」です。本当の「当直」はビルの管理人さんみたいに“たまに起こされることがある”です。

そして当直が明けた次の日はまたいつものように1日の勤務が始まります。

厚生労働省労働基準局は「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」という通達を出しました。
労働基準法における宿日直勤務は、夜間休日において、電話対応、火災予防などのための巡視、非常事態が発生した時の連絡などにあたることを指します。なんだかだいぶ様子がちがいますね。

• 医療機関において、労働基準法における宿日直勤務として許可される業務は、常態としてほとんど労働する必要がない業務のみであり、病室の定時巡回や少数の要注意患者の検脈、検温等の軽度または短時間の業務に限る。
• 夜間に十分な睡眠時間が確保されなければならない。
• 宿直勤務は、週1回、日直勤務は月1回を限度とすること。
• 宿日直勤務中に通常の労働が頻繁に行われる場合は、宿日直勤務で対応することはできず、交代制を導入するなど体制を見直す必要がある。

と通知されていますが、こんなことやってたら医者が何人いても足りません。

現場の深刻な人手不足もあり、県内のある公立病院長は「自治体の経営難などで、医師を増やせない。現場はぎりぎりの人数で、精いっぱいやっている」と窮状を訴えています。ホントに大変ですよね。

しかし教授は「医師の疲弊は医療ミスを誘発する恐れがある。患者の安全を確保するためにも、適切な労務管理が不可欠だ」と話しています。

まあその通りですね。

また教授は「労働基準監督署の是正勧告書は保管が義務付けられる3年を過ぎれば廃棄しても問題はないとされています。そして捨てられてしまえば、たとえ情 報の開示を請求しても『是正勧告はない』ということになる」と指摘しおり、実際の勧告回数は、今回明らかになった数を上回る可能性もあるとしています。

ちみに、今、私は愛育病院で当直中ですが、ここの「当直」は本当の「当直」でめったにお呼びがかかることはありません。

業界用語で「寝当直」といいます。

すいません‥‥。

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カルピス飲んで記憶力アップ

カルピスを飲むと記憶力が良くなるかもしれません。

カルピスの発酵応用研究所は静岡県立大学食品栄養科学部の横越英彦教授と共同で、カルピスを作るときに用いる乳酸菌のひとつラクトバチルス・ヘルベティカスを用いた発酵乳(LH発酵乳)の摂取による記憶向上のメカニズムの一端を明らかにしました。
ラクトバチルス属の乳酸菌はヨーグルトを作る乳酸菌でヒトの体内にも存在します。

ラットを用いた実験を行い、摂取後、脳内の神経伝達物質ドーパミンの量が増えることがわかりました。

この成果を踏まえカルピスでは実験結果を積み重ねてヒトに対する機能の検証への研究を進める予定です。

LHはラクトバチルス属の一種でカルピスを製造するときに用いる菌です。「カルピス菌」は乳酸菌と酵母の共生体で、二度の発酵プロセスを経て作られますが、この製造プロセスでの1次発酵乳をカルピス酸乳と呼び、このなかにLHが含まれています。

実験によるとラットにLH発酵乳ホエー(発酵乳から脂肪成分やカゼインを除いた水溶液:乳精)を体重1キログラム当たり200ミリグラムと2000ミリグラム、水だけの3グループに分けて投与し、マイクロダイアリシス法(神経伝達物質の生体内の経時的変化を測定する技術)で測定したところ、LH発酵乳ホエー摂取グループでは投与後に脳内のドーパミン量が増加することが確認されました。
ドーパミンは記憶、学習など脳の機能として記憶力の維持などに関わっています。

共同研究グループは2010年に同乳酸菌による発酵乳を摂取したマウスが見たものを確認する能力が高まり、記憶力が向上する作用のあることを実験で確認しています。

またLH酸乳には、アレルギーを抑えたり、お肌をきれいにする作用血圧を下げる作用もあるようです。

初戀の味はやはり身体にいいようですね。

「カルピス」の由来は「カルシウム」とサンスクリット語の「サルピス:sarpis(熟酥じゅくそ)を合わせたものだそうで、名付け親は音楽家の山田耕筰です。熟酥というのは日本古来のチーズ、醍醐になる前の状態のことをいいます。

創業者の僧侶、三島海雲が25歳で内モンゴルを訪れた際、搾った生乳を静置して分離してできるクリームのジョッヘという飲み物を参考にして大正8年にカルピスを開発、発売したそうです。〔モンゴルの乳製品〕

ちなみにアメリカでは「Calpis」は牛のおしっこカウ・ピス:cow pissに発音が似ているので「CALPICO:カルピコ」という名前で販売されているそうです。

牛のションベンはまずいよな。

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寝過ぎは動脈硬化の原因に

今度は寝過ぎもよくないというネタで。

毎日9時間以上の睡眠が動脈の硬さと関係している可能性があることを、北海道大学医学部予防医学講座・公衆衛生分野の吉岡栄治准教授 たちのグループが発表しました。 Sleep 2011;34:1681~1686

同グループは2003年4月~04年3月に定期健康診断を受けた35~62歳の地方公務員で完全なデータが得られた4,268例(男性3,410例)を対象に、自己報告による毎日の睡眠時間と動脈の硬さとの関係を調べました。

動脈の硬さの評価には上腕—足首間の脈波伝播速度 (baPWV)を用いました。

脈波伝播速度は心臓から出て動脈を伝わっていく脈のスピードを測定する検査です。脈は波のように動脈を伝わります。物理学上、波は硬い材質のものを伝わる 時に速く、柔らかい材質のものを伝わる時にゆっくりと進むため、脈のスピードを知ることにより、脈の伝わる場所つまり動脈の硬さを推し量ることができ、最 近は新しい予防医学的指標として注目されています。

毎日の睡眠時間は5時間以下、6時間、7時間、8時間、9時間以上の5つのグループに分類しました。

その結果、参照群とした7時間睡眠グループに比べて9時間以上寝るグループは腕足首脈波伝播速度の値が明らかに高く、性別で調整した解析では男性のみに有意な関係がみられたそうです。

また、これまでの研究で睡眠時間が短過ぎてもインスリンの抵抗性を高め動脈硬化のリスクが高くなるという報告も多く、適度な睡眠時間は6~8時間だそうです。

ちなみに私は、お酒を飲まなければ、寝る時間は3、4時間です‥‥。

いまは夜中の3時、愛育病院当直中です。

さっき、うちのクリニックで妊婦健診していたかたのお産をとりました。

とても安産でした。クラッカー

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睡眠不足は糖尿病のリスク

近年、睡眠が脳だけではなく全身の代謝や心血管系とも関連が強いことが明らかになり、健康全般と睡眠との関係を検討した研究が増えています。

睡眠科学,睡眠医学,睡眠社会学を3本柱とする睡眠研究は,生活環境の変化による眠りの量・質への影響が懸念される昨今,ますます注目を集めています。

京都市で開かれたWorldsleep 2011 会長を務めるシドニー大学・睡眠統合研究センター(CIURS)睡眠医学・Ronald R. Grunstein教授のシンポジウム“Future Direction of Global Sleep Medicine in collaboration with World Sleep Federation(WSF), the Japanese Society of Sleep Research(JSSR), and World Health Organization(WHO)”では,世界睡眠連合(WSF),世界保健機関(WHO),日本の政策決定機関などの代表や専門家が,これからの睡眠研究の方向性を議論しました。

1960年前後から米国における睡眠時間の移り変わりを見ると、年々睡眠時間が短くなっているのと同時に、睡眠時間の短い(7時間未満)人の割合は白人や 他の人種よりもアフリカ系米国人やヒスパニック系で多く、これらの人種は糖尿病の高リスクグループであることが分かります。

今回 Sleepdisturbances, obesity and diabetes: Interacting epidemicsnoのセッションでは,シカゴ大学内科のEve Van Cauter教授が,睡眠不足と睡眠のずれが肥満や2型糖尿病リスクに及ぼす影響などについて発表しました。

睡眠不足(sleep loss)と肥満との関連について教授たちの研究グループが行ったSleep Debt Study(睡眠負債研究)で睡眠負債状態に置き、その後に十分な睡眠を取った人の、満腹信号を脳に伝えるホルモンであるレプチンの値を調べたところ、睡眠負債状態ではレプチンの値が明らかに低いことが分かりました。

睡眠負債とは何らかの理由で普段より少ない時間しか眠ることができなかった場合に、その不足分が翌日の睡眠に蓄積されます。このように蓄積された睡眠不足のことを睡眠負債といいます。負債と呼ぶのには、いつかその負債を返済しないといけないという意味合いがあります。

一方、飢餓信号を伝え、食欲を増進させるホルモン、グレリンの値は睡眠負債状態では有意に高くなっていました。

要するに睡眠不足の人は良く寝た時に比べて食欲が増すということです。


睡眠不足とカロリー摂取量や消費量との関連を示す研究は他にも多く報告されており、「睡眠不足が肥満の危険因子であることは既に確立されている」ということです。

Cauter教授たちは睡眠負債研究で、睡眠負債とインスリン感受性との関連についても検討し、睡眠不足が2型糖尿病の危険因子になることは既に報告しています。

さらにその後の研究で睡眠負債は脂肪細胞でのインスリンに対する感受性を下げることが確認されたことから、睡眠が脳だけではなく全身の健康状態に影響を与えることをあらためて強調しました。

また、昼夜交代勤務の増加とともに、睡眠のずれ(misalignment of sleep)が概日リズムや食事スケジュール、そして健康に及ぼす影響が懸念されています。

概日リズムを調節する生体時計は、脳だけではなくからだ中にあります。1日当たりの合計睡眠時間は同じでも、概日リズムがずれた睡眠パターンを送っている人では、インスリン感受性が低いことが報告されています。

教授は「概日リズムのずれは、睡眠不足とは独立した2型糖尿病の危険因子だ」と結論しました。

そうですね。寝不足だと腹減りますもんね。

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キウイの降圧作用、リンゴに勝る

もうひとつフルーツネタを。

「1日1個のリンゴで医者知らず」これはイギリスのことわざですが、「1日3個のキウイ」「1日1個のリンゴ」よりが血圧を下げる効果が高いらしいことが、米・オーランドで開かれた米国心臓協会(AHA)年次集会で発表されました。

ちなみに実際リンゴにはポリフェノール、整腸機能やコレステロールを下げる効果のあるペクチン、抗炎症作用のあるケルセチン、カリウムなどが豊富に含まれています。

軽度高血圧の男女がキウイを1日3個、8週間食べたところ、リンゴを1日1個食べたグループより収縮期血圧(最大血圧)が3.6mmHg低かったそうです。「キウイは小さな果物だが、その緑色の果肉に多くの栄養素が含まれ、強力な抗酸化物質であるルテインが豊富であり、これが降圧効果に寄与している可能性がある」と報告者であるオスロ大学病院のMette Svendsen先生は話しています。

心臓病専門医たちは、単独で心臓の健康改善に有効な魔法の食品は存在しないとする一方、心臓に良い食事として勧められる1日5サービングの果物と野菜にキウイを加えることは同意しているそうです。

今回の研究では男性50人、女性68人(平均55歳)を対象に、1日にキウイ3個またはリンゴ1個を8週間食べるいずれかのグループに割り付けました。

研究開始時、対象者の血圧はやや高めの128/85mmHgでした。(理想値は120/80mmHg未満)果物を追加する以外は食事の内容は変更しませんでした。

その結果、1回の測定よりも正確とされる24時間自由行動下血圧を測定した結果、キウイグループはリンゴグループよりも血圧に大きな改善がみられたそうです。

しかし、米ペンシルバニア大学病院のNehal Mehta博士はこの研究結果について、「生物学的には理にかなっているとする一方、1日3個、1週間で21個ものキウイは適量とはいえず、食べ過ぎである」と批判しています。

まあ、当たり前ですね。1日3個もキウイ食べ続ければ、今度は太って逆に血圧上がるんでないの?

また「今回の研究は個々の栄養素ではなく丸ごとの果物に着目したものであり、この結果に基づいてルテインのサプリメントを利用することは勧められない」と付け加えています。

別の専門家はこの研究が小規模である点を指摘するとともに、「いずれにせよ医師への相談なく降圧薬の服用を止めてはいけない」とはなしています。

「先生、私この前からキウイ毎日食べ始めたんで、お薬飲んでません」てか。

このAHA っていうのは権威のある学会だと思うんですが(私は心臓病の学会のことは詳しくありませんが)こんなしょーもない演題が通って、議論されているのですね。(笑)

キウイ5個ならもっといいんでしょうか。

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リンゴやナシに脳卒中予防効果

リンゴやナシには脳卒中の予防効果があるとする研究結果をオランダ・ワーヘニンゲン大学、ヒト栄養学のLinda M. Oude Griep博士たちが、雑誌Stroke(2011;42:3190~3195)に発表しました。

論文によると食べるところが白い果物と野菜を多く食べるひとでは脳卒中の発生率が低かったそうです。
果物と野菜を多く摂る人では脳卒中の発症が少ないことは以前から知られていましたが、今回の研究では果物、野菜の色と脳卒中の関連が初めて解析されました。

果物、野菜の食べられる部分、可食部の色はカロチノイドフラボノイドはどのヒトにとって有益な“植物由来の化合物”フィトケミカルを含む量や種類と関係があるようです。

博士たちは成人2万69人(平均年齢41歳)を対象とした住民調査で、色別の果物、野菜の消費量と、脳卒中の10年発症率の関連性を調べました。

参加者は追跡調査開始時に心血管疾患がないことが確認され、前年の食物摂取に関する178項目のアンケートに回答しました。

博士たちは果物と野菜を以下の4つのグループに分類しました。

① 緑色グループ:葉野菜、キャベツ、レタスなど
② 橙・黄色グループ:柑橘系果物
③ 赤・紫色グループ:赤色の野菜
④ 白色グループ:リンゴとナシが55%を占める

10年間の追跡調査中に脳卒中の発症は233件確認されました。解析の結果、緑色、橙・黄色、赤・紫色の各グループでは脳卒中との関連は認められませんでした。しかし白色の果物、野菜を多く摂る人は、摂取量の少ない人より脳卒中のリスクが52%低いことがわかりました。

白色グループの果物の摂取量が25g / 日増えるごとに脳卒中リスクは9%ずつ減少しました。ちなみにリンゴ1個の平均重量は120gです。

博士たちは「脳卒中の予防のため白色の果物と野菜を多く摂ることは有益だと考えられる。例えばリンゴ1日1個食べれば白色の果物の摂取量を簡単に増やすことができる。」と話しています。
また「他の色の果物、野菜にも別の慢性疾患を予防する効果があると考えられ、色にかかわらず果物と野菜を多く食べることは依然として重要である。」と話しています。

リンゴとナシには食物繊維の他にケルセチンと呼ばれるフラボノイドが多く含まれています。このケルセチンは抗酸化作用があり炎症を抑える働きがあります。

今回の研究で白色グループにはリンゴとナシの他にバナナ、カリフラワー、チコリ、キュウリが含まれています。

果物と野菜の疾病予防効果を研究した以前の研究では、植物の可食部、色、植物学的分類、抗酸化作用など、その食品が持つ独特の栄養価値や栄養特性に焦点が定められていました。

米国政府の食生活ガイドラインでも、栄養価の割当に食品の色が使われています。米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)は毎日の野菜を

① 濃緑色の野菜
② 橙・赤色の野菜
③ 豆類
④ デンプンを多く含む野菜
⑤ その他

の5群から選ぶことを推奨しています。

ちなみにガイドラインはこんな感じです。

・食事の半分は果物や野菜にすること。そして全粒穀類を多く食べること。
・脂肪分の少ない肉、鶏肉、豆類、ナッツ類、種子類を食べること。
・無脂肪、あるいは1%の低脂肪牛乳を使うこと。
・砂糖の添加食品、精製穀物類、固形脂肪を避けること。カロリーが多く、必要な栄養素はほとんど無い。
・缶詰のスープや冷凍食品は塩分を比較する。そして塩分量が一番少ないものを選ぶ。
・コレステロールの摂取量は1日300ミリグラム未満にすること。
・トランス脂肪酸の摂取は避けること。
・サプリメントなどの栄養補助食品を食べる代わりに、栄養価の高い食品から栄養分を摂取すること。
・アルコールはほどほどに。女性は1日1杯以下、男性は2杯以下。
・砂糖入りのソーダ水や飲料水の代わりに、水を飲むこと。

しかし博士は今回の結果に基づいて患者に食習慣の変更を指導するのは時期尚早である」と話しています。

また、同誌の付随論評で、ドイツ・ヴェストファーレン・ヴェルヘルム大学疫学社会医学研究所のHeike Wersching博士は、今回の結果は慎重に解釈する必要があると指摘しました。その理由として食物摂取に関するアンケートの信頼性に疑問がある点を挙 げています。

そして「果物と野菜を多く摂る生活をしている人は概して健康なライフスタイルを実践していることが多く、今回観察された脳卒中リスク低下の一因となっている可能性もある」と付け加えています。

みなさん、アメリカでは“トマトペースト、スプーン2杯で野菜と見なす”って知ってます?ピザも赤色野菜なんですよ。

マヨネーズは白色野菜だったりして。

さすがにマヨは卵か。

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